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スペイン国立バレエ団、大盛況のうちに幕を閉じたAプロをレポート

(C)YUKI OMORI
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テキスト:高橋彩子(舞踊・演劇ライター)

 

 

現在、来日中のスペイン国立バレエ団。バレエ団と言っても、スペイン舞踊をベースに様々なジャンルの踊りを取り入れているカンパニーだ。

 

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芸術監督は39歳の俊英アントニオ・ナハーロ。ダンサー、振付家として活躍し、フィギュアスケート界でも、ソルトレイクシティオリンピックで優勝したアイスダンスペアのマリナ・アニシナ&グウェンダル・ペーズラの『フラメンコ』や、トリノオリンピックで銀メダルに輝いたステファン・ランビエールの『ポエタ』などを振り付けたことで知られている。2011年、史上最年少での着任以来、ナハーロは団のレパートリーを育みながら、精力的に新作も発表。このうちの前者、つまり優れたレパートリーを紹介するのがAプロ(10月31日〜11月3日)で、後者、すなわち新作を披露するのがBプロ(11月20日〜22日)。ここでは、大盛況のうちに終わったAプロの模様を伝えよう。

 

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最初に上演されたのは、84年に初演されたファン・キンテーロ振付『ファルーカ』。哀愁漂うカンテ(歌)とギターに乗せて、第一舞踊手マリアーノ・ベルナルを筆頭に、ベスト&パンタロン姿の男性3人が踊る。抑制の利いた動きと、身体のラインの美しさが印象的。派手ではないが、端正な雰囲気からじわじわと情熱が滲み出てくる舞台だった。

 

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続いて、78年初演のビクトリア・エウヘニア振付『ビバ・ナバーラ』。カスタネットを持った女性が溌剌と踊るソロだ。この日はソリストのインマクラーダ・サンチェスが、前半は優美に、後半は一転、愛らしくコミカルな踊りを披露。鮮やかな足さばきでも魅せた。

 

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そして『ボレロ』。スペイン国立バレエ団の『ボレロ』と言えばホセ・グラネーロ振付版が定番だったが、ナハーロは87年初演のラファエル・アギラール版を採用。15歳の時にアギラールの舞踊団で踊った経験を持つナハーロならではのチョイスと言えるだろう。ラヴェルの有名な旋律に合わせ、靴で床を打ち、アパニコ(扇子)を開閉する女性群舞と、手を叩き、激しくサパテアートを踏む男性群舞。この2つの群舞の間で唯一無二の存在感を放つのが、ソロのセルヒオ・ベルナルだ。気だるげに身体を伸ばすその姿はナルシスティックで艶やか。音楽の高まりに合わせ、しなやかさとカリスマ性を増していく。彼を取り巻き、あるいは追い詰める群舞とのせめぎ合いの果てにラスト、そのエネルギーが爆発するさまはまさに圧巻。主にソロの動きが先行するモーリス・ベジャール振付の同名作に似ているものの、非常に見応えのある作品だった。

 

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最後は『セビリア組曲』。ナハーロがスペイン国立バレエ団芸術監督就任直前の2011年2月、当時率いていた自身のカンパニー(アントニオ・ナハーロ舞踊団)のために振り付け、翌年にスペイン国立バレエ団でも初演した作品だ。祭りや聖週間、道、闘牛など、セビリアのさまざまな情景を描いており、13年の来日公演でも好評を博した。本作の見どころは多いが、何と言っても全編にナハーロの意欲、才気が漲っているのが素晴らしい。少しだけ開いた幕の下からダンサーたちの手だけが覗きカスタネットを奏でるオープニング、男性舞踊手が扮する闘牛士と女性舞踊手が扮する牛のセクシーなデュオ、めまぐるしく交錯する迫真の群舞……。伝統的な舞踊の技法を用いながら、見せ方が極めて斬新でスタイリッシュなのだ。同団の新時代を象徴する作品と言えるだろう。 

 

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伝統と革新が絶妙なバランスを見せるスペイン国立バレエ団。ナハーロの新作『アレント』と、彼のイニシアティブの下でフラメンコ界の若い才能達が振付を手がけた新作『サグアン』からなるBプロも見逃せない。

※レビューは11月3日(火)、写真は10月31日(土)のもの。内容やキャストに若干の相違あり

スペイン国立バレエ団 2015 日本公演の詳細はこちら

 

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