kyary pamyu pamyu
Kyary Pamyu Pamyu: 'I like dark stories'

インタビュー:きゃりーぱみゅぱみゅ

躍進を続けるKPP、ついにロックの聖地へ

テキスト:
Kunihiro Miki
広告
インタビュー:三木邦洋

2013年から頻繁にワールドツアーを行なってきたきゃりーぱみゅぱみゅ。その成果が実り、2015年末にはロンドンの老舗ライブハウス、ラウンドハウスでの単独公演が決定した。ラウンドハウスは、60年代より数々の伝説的なミュージシャンがパフォーマンスを行なってきたロックの聖地である。

有象無象のアイドルグループが足の踏み場もないほどに増えた日本では、孤軍奮闘するきゃりーの姿はまぶしく、痛快さすら覚える。国際的な人気も、節操のない赤裸々な行動で注目を引くのではなく、日本の伝統芸能としてのアイドルの進化と洗練が感じられるからこそ獲得できた評価だろう。

今回、彼女が再びタイムアウト東京マガジンの表紙を飾ってくれることとなり、以下のインタビューはその撮影後に行なったものだ。過密なスケジュールにも疲れの表情ひとつ浮かべず、落ち着いた様子で質問に答えてくれた。

「クールジャパン」という括りに私がどうやらいるらしい


ー(撮影を終えて)今日の衣装はどうでしたか?

きゃりーぱみゅぱみゅ(以下、きゃりー):今まで、着物とか浴衣とか、日本らしい撮影はしてきたんですけど、ああいう男の子っぽい感じというか、かっこいい感じのは初めてだったんで、すごい斬新でした。

ーいままでで、一番気に入っている衣装は何ですか?

きゃりー:いままでパステルカラーが多かったんですけど、『ファッションモンスター』の衣装は白と黒でかっこいい感じだったので、結構印象的ですね。また着たいです。

 ーなるほど。海外での活動も活発になって、海外のメディアに取り上げられる機会が増えたかと思いますが、彼らがきゃりーさんのスタイルを評する言葉で一番嬉しかったもの、しっくりきたものは何ですか?

 きゃりー:何だろう……。でも、「日本のポップアイコンのきゃりーさんですが」とか、インタビューで言われると、自分ではそうなれたらいいなと思って目指していた部分なので、海外の方にそういって頂けるのは嬉しいです。

ー海外で報じられた時に、意外だった評価はありますか?

意外だったのは、「クールジャパン」という括りに私がどうやらいるらしいということですね。「クールジャパン」って、アニメとか食とか、カルチャーとか政治っぽいイメージが強くて、音楽とかアーティストがそこに入るイメージがなかったので、私が「クールジャパン」としてテレビで紹介されていたのは、びっくりしました。

ーきゃりーさんが登場したことで「クールジャパン」に幅が出ましたよね。きゃりーさんにとって日本のかっこ良さって何でしょうか。

きゃりー:私は日本の伝統文化とか、元々あるものがかっこいいなと思っていて。今日の撮影も、イメージとしてあらかじめ見せられていた写真が五月人形だったんですけど、凛々しい男の子がかっこいいポーズしていて素敵だなって。そういうひな祭りとか、行事によってすごく素敵な文化とかファッションが入っているものですね。そういうのはすごく好きで、衣装とかにも取り入れてます。きゃりーぱみゅぱみゅらしさを出しつつ、伝統文化をミックスしたいです。

ー今日も、ここに来る前にラジオできゃりーさんの曲がかかっていたんですが、街中で不意に自分の曲がかかりはじめたときは、どんな気分ですか?

きゃりー:それ、自分が歌手になる前は、どんな感じなんだろう?って思ってたんですが、意外と、「あ、これこの前録音した曲だ。流れ始めたんだな~」とか、そんな感じです。案外普通でした。

ーなるほど。2015年10月にはロンドンでライブを行う予定ですが、今回のラウンドハウスはもちろん、去年のシェパーズ・ブッシュ・エンパイア、一昨年のO2 Academy, Brixtonと、日本にはないような古い建物がコンサート会場ですが、ああいった場所でライブをやるのはどんな感じがしますか? 

きゃりー:日本のライブハウスとかとはまったく違って、教会っぽかったり、会場によって雰囲気が全然違うので、海外でライブするんだっていう実感がすごくしますね。お客さんは、前にびっくりしたのは、ロンドンはパンクっぽい人が多くて、長髪とか、パンクTシャツ着てる人が結構いたりして、可愛い感じの趣味の人ばかりじゃなかったのが印象的でしたね。

ーロンドンのコアな音楽好きの人たちのなかでも、きゃりーさんのファンは多いのかもしれませんね。

きゃりー:うんうん。そうかもしれない。

ーああいう雰囲気のある会場を見て、演出のアイデアが湧いたりしますか?

きゃりー:そうですね。いつか会場の雰囲気に合わせたライブとかもやってみたいですね。

ーロンドンの観客たちに、きゃりーさんの音楽がどんなふうに響けば良いと思いますか?

きゃりー:日本のアーティストって、まだまだ現地では知られていないので、私をきっかけにどんどん日本のほかの音楽も、日本のことも知ってもらって、好きになってもらえたら良いなと思います。

ーロンドン公演の内容についてしりたいのですが。

きゃりー:まだ具体的には決まってませんが、単発でやるのはロンドンだけなので、いつもと少し違うもの、力を入れたものにしたいなと思っています。

ーワールドツアーをしてきて、どの都市が気に入りましたか。

きゃりー:やっぱりロサンゼルスは、気候的にサマーバケーション感があるというか、ライブ前の緊張している時にも、あのカラッとした西海岸の雰囲気が遊びにきた感覚にさせてくれるので、好きです。

ーコンサートがある日って、どんなスケジュールで動いてるんですか?

きゃりー:それがかなり自由で。15時くらいに会場に入っていれば大丈夫みたいな感じなので、早起きしたら観光したりショッピングしたりできて、自由に使えるようにスケジュールは組んでもらってます。寝てても良いし。

ーそうなんですね。ライブ前のおまじないというか、必ずやるようにしていることはありますか?

きゃりー:各国の挨拶は覚えるようにしていますね。難しいのはアジア圏で、言葉のちょっとしたイントネーションで意味が違ってしまうので、現地の方に教えてもらいながら練習したりしてます。自分は英語が得意ではないので、そこだけは頑張ろうと思ってます。

「嫌だ」みたいな思いからも成功するのって素敵だなと

ー多忙でなかなかお休みがないとは思いますが、オフの日はどんな服を着ていますか?

きゃりー:洋服が好きなので色々持っているんですが、いつも明るいポップな服を着ていると疲れてしまうので、オフの日は暗い色のものが多いです。黒いワンピースとか、スポーティーな感じとか。皆さんが知っているきゃりーぱみゅぱみゅのイメージとは少し違うかも。

ーきゃりーさんのイメージは衣装だけでなく、ポージングや表情も大きく関係していると思うのですが、カメラを向けられているときは、どんな感覚であの絶妙な感じを作っているんですか?

きゃりー:やっぱり、可愛い洋服を着ているときに可愛いポーズをとったりすることもありますけど、自分らしさを出すために、ちょっとファニーな顔をしたり、やんちゃっぽい顔をしたりとか、あんまりひとつのイメージっぽくなりすぎないようなバランスにはしていますね。それが使われるかは分からないですけど(笑)

ーそのあたりの思いつきって、どこから来るんでしょう?

きゃりー:元々、あんまり普通っぽいことが好きじゃないというか、期待を裏切るというか、みんなが予想していることと真逆のことをやりたいな、と思うんですね。あまのじゃくなので、性格が。PVの監督やスタッフも私のことを一から知ってくれているので、すごく自由にやらせてくれてて、『PONPONPON』のビデオでインサートで入ってくる顔とかは、自由にやったものです。

 


ーなるほど。「グロさ」も重要な感覚になっていると思うのですが、例えば映画や漫画はどんなものが好きですか?

きゃりー:私の部屋は結構ピンク色とかで可愛い感じなんですけど、そこに置いてある漫画は『ヒミズ』とか『闇金ウシジマくん』とかダークなものが好きで(笑)。映画もそうなんですけど、エグい人間関係とか、ストーカーものとか、そういうのが面白くて、ミュージックビデオとかコンサートでもそういう怖さを出したりしてます。

ー絵的にグロいんじゃなくて、中身がえげつないものに惹かれると。

きゃりー:そうですね。『新宿スワン』とか。裏社会みたいなものが割と好きです(笑)。

ー海外アーティストで、ハマっている人はいますか?

きゃりー:最近聴いているのは、メーガン・トレイナーさんですね。歌詞が、自分らしさを貫くことを歌っているものが多くて。あと、曲調もレトロで好きですね。PVもすごく可愛いし。

 



ー音楽を聴く時には歌詞をかなり聴くんですね。

きゃりー:歌詞、聴きますね。洋楽でも検索したりして。J-POPでも歌詞は重要だと思ってます。

ーなるほど。例えば80年代、90年代の日本のアイドルって興味ありますか?

きゃりー:小泉今日子さんてすごく素敵だなと思います。以前、対談させていただいたことがあったんですけど、アイドルがかわいらしくて、フワフワしてなきゃいけないのが当時はうんざりで、小泉さんは髪をばっさり切ってボーイッシュにしたんですけど、でもそれがブームになって、「小泉今日子」っていうスタイルができて。そういう、「嫌だ」みたいな思いからも成功するのって素敵だなと思いました。「自分らしさ」というか。

ーきゃりーさんもそういう、一見アイドルっぽい可愛さがあるようで、全然違った感性が混ざっていたりという新しい個性を確立していますね。これからさらに「こういう自分を出していきたい」という考えはありますか?

きゃりー:もうすぐ23歳になるので、もっとエッジがきいたものとか、かっこいいこととか、これまでは可愛い感じが多かったので、新たな部分を出せたらいいなーと思います。


『タイムアウト東京マガジン第8号』の詳しい情報はこちら

 

広告

おすすめ
    関連情報
    関連情報
    広告