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3代にわたって続く、1950年創業の老舗の「町パン屋」。年季の入った店のたたずまいからして歴史を感じさせる。今となっては希少な店だ。
浅草で食パンといえば「パンのペリカン」が有名だが、同店の食パンも試す価値が大いにある。派手さはないが味わい深く、トーストにした時のさっくり加減もいい。変に主張しすぎない、食べ飽きない日常食の名脇役だ。特上食パン(594円、税込み)のほか、厨房で作り出される昔懐かしい調理パンや菓子パン各種がレトロなショーケースに揃っている。
店の看板に「CAKE SHOP」とあるのは、菓子パンが売れ筋のメインだったころの名残。かつて同店の周辺は靴問屋の密集地帯で、そういった店の主人が菓子パンを好んで食べていた。時の流れとともに問屋がマンションへと変貌し、ファミリー層が増えてきたので、売れ筋が調理パンや食パンに移っていったそうだ。
品揃えは多少の変化はあるものの、昔とほぼ一緒。コースローを挟んだヘルシーな「サラダドック」や「やきそばパン」、異色の「イカゲソパン」など調理パン系もイケるが、かつて菓子パンで名を鳴らしただけに「生クリームコロネ」「チョココロネ」、カステラにようかんを挟んだ「シベリア」などが実にいい。特製クリームやあんの甘味がほどよくクセになる。
昔ながらの硬めのプリンや、バタークリームの滋味深さを再確認させられる「ロールカステラ」なども、ぜひ試してほしい。懐かしさのもたらすひいき目なしに現役の味わいだ。
外注でベトナム料理のバインミーサンド用のパンも手がけていたり、過去の名品だけこだわらない様も、味の鮮度を保っている理由かもしれない。女将の明るく丁寧な接客も心地いい、下町グルメの良さを総取りしたような猿若町のただ中にある一軒である。
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