手際よくおろされた生き海老の鮨は、その体の一部がまだ動いているほど新鮮で、灰色がかった胴体は温かいシャリの上で光っている。 高級鮨店、銀座 久兵衛の15席あるカウンターでは、4人の板前が目の前で外科医の手術のような精度で働いている。板前が、各ネタの説明をしてくれる。
ランチでは価格別の握りセットが提供され、おろした柚子の皮を小さな竹の刷毛で鰻の握りの上に散らす様子など、すべての握りが作られる光景を目の前で見ることができる。 和食を知り尽くしたであろう年配の顧客の中で味わう江戸前鮨の味は格別だ。新鮮な魚介の味を楽しむのに装飾はほとんど必要ない。研ぎ澄まされた板前の職人技に並ぶ、鮨屋の不思議のひとつだ。