背の高いガラス張りのビルがひしめく日本橋で、この地に似つかわしくない2階建ての日本家屋でうなぎの専門店を営むいづもやは、まるで現代社会から守られているようだ。
今の店主は創業者の孫で、店では伝統と静けさ、そしてなによりも日本橋一の高級うなぎが味わえる。ウルメイワシ、野菜の天ぷら、馬肉の刺し身などの料理も豊富だが、ほとんどの客は1940年代からの店の看板メニューである『うな重』を注文する。豪華な漆塗りの箱に入れられて運ばれる『うな重』の価格は、うなぎの質と大きさによって異なり3,300~8,690円だ。人気があり、夏の繁忙期には毎日300~400食も出ることもある。
店の秘伝のたれを塗ってから茶色く照りが出るまで炭火で焼かれ、最後にさっと山椒(さんしょう)を散らしたうなぎは、甘辛くて、やみつきになるおいしさ。いづもやでは店が厳選した九州産のうなぎを使っており、『うな重』には肝吸い、新香、季節の果物が付く。
量がかなり多いので、残してしまった場合はスタッフに声をかけて、持ち帰り用に包んでもらおう。2階には、静かに食事ができる個室も3部屋用意されている。