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豊島区の秘めたるポテンシャルとは?センシュアスシティの視点で都市を見る

豊島区の秘めたるポテンシャルとは?センシュアスシティの視点で都市を見る

豊島区が有識者や著名人らを招き、将来の夜の街づくりを考える『アフター・ザ・シアター(観劇後)懇談会』の第4回会合が11月2日、大塚のエイトデイズカフェで開催された。ゲストスピーカーとして招かれた永谷亜矢子(an代表取締役)や中井美穂(アナウンサー)、島原万丈(LIFFUL HOME’S 総研所長)らが、街の理想像や課題などを話し合った。

懇談会は昨年12月から不定期に開催されてきた。訪れた人々に、劇場の街・池袋で夜の時間帯も楽しんでもらうため、「アフター・ザ・シアター(観劇後)」と銘打ち、学者や弁護士、企業役員、タレントなど幅広い有識者とともに、進むべき方向性などについて議論を重ねてきた。大塚での開催は2度目で、地元の商店街や町会の関係者も参加してディスカッションが行われた。

この日の話題の主軸となったのは、懇談会の冒頭に島原がプレゼンテーションしたキーワード「センシュアスシティ」だった。センシュアスシティ(=官能都市)とは、都市の魅力を測る新たな物差しであり、都市再開発が均質化していることへの危惧から生まれた定義だという。

島原万丈

通常、住み良い街を評価する際には、病院のベッドが人口あたりどれくらいあるか、都市の公園面積が人口あたりどれくらいあるかなど、いわゆる箱ものの数や大きさ、新しさが指標の軸とされてきた。また、人気投票制で行うと、知名度の高い街ばかりが必ず上位に来る。それに対し、センシュアスシティの視点にもとづいた評価は、その街で豊かな体験ができるかどうか、多様な生き方に寛容か否かに着目する。

「クリエイティブな人々が集まる都市は、経済成長も見込めます。では、クリエイティブな人々が選ぶ街とは。それは質の高い体験ができて、かつ多様性に寛容な街です。センシュアスシティの評価は、『あなたは◯◯したことがありますか』という本人を主体にした動詞で質問をします。具体的には、大きく分けて「関係性指標」と「身体性指標」の二つの基準で判断します。
関係性指標では、例えば
・馴染みの居酒屋で盛り上がったことがあるか
・その街にいることで、共同体(コミュニティ)に帰属している感覚があるか
・匿名性があるか
身体性指標(体で体験し、各人が五感を通して都市を感じる)では、
・美味しいものが食べられるか
・その街で自然を感じられるか
などの質問が盛り込まれています。
上記に基づき、47都道府県の県庁所在地(東京、横浜、大阪は区ごとに分割)で、約1万8千人を対象にアンケートを行います。134都市のランキングの1位は東京都文京区で、「歩ける」と「共同体」の項目が全国トップでした。同区は23区内で最も坂の多く、決して歩きやすい街ではありませんが、寺や神社がたくさんあり「歩きたい街」として評価されています。豊島区は現状39位。豊島区は「匿名性」や「ロマンス」の部分は高く評価されていますが、共同体については少々低い。ご近所付き合いの少なそうな、見方を変えれば、都会的な街として認識されているようです」

中井美穂

8つの劇場を備える複合商業施設 ハレザ池袋のグランドオープンを2020年に控え、豊島区が掲げる「国際アート・カルチャー都市」のシンボルとしてさらに発展を続ける池袋。そうした状況を見据え、中井は「観劇が終わったあとにそのまま流れて行けるお店が必要」と指摘。これに対して豊島区長の高野之夫は、「池袋に新しくできる施設には23時までやってほしいという条件を出したり、少しずつ変えていっている。夜遅くまでやっている店が多くある大塚と連携していく道もあるかもしれない」と、街づくりの方向性を示した。

 

高野之夫

 『東京ガールズコレクション』のチーフプロデューサーを務めるなど、数々の企画プロデュースで辣腕を振るってきた永谷は、ハレザ池袋内に新たに誕生する中池袋公園に着目し、「参加型のイベントがこれからのトレンドになっていくのではという予想を個人的に持っているので、新しい公園が誕生することはすばらしいこと。外で気持ちよく飲めたり、盆踊りやバザールなどが開催できたりする場所には多くの人が集まる」と公園を活用することに期待を寄せた。同じく島原も、「日本は気候が良いのにまだまだ屋外を活用できていない。ポルトガルの首都、リスボンに行って驚いたのは、道幅が2メーターくらいしかないような階段の路地に、テーブルがたくさん置いてあるんです。日本だったらすぐ警察に止められちゃうでしょうけど。路上が使えると、お店にとっては天気が良ければ席数が増えるなどメリットが多い」と、野外スペースの可能性を示した。

永谷亜矢子

 前回の懇談会同様、パネルディスカッション後には大塚の街を巡るツアーが行われ、最後はイタリアンダイニングの「シスイドゥー」に参加者が集った。A.T.カーニー日本法人会長で懇談会座長の梅澤高明は、ツアーで得た実感について、「大塚はセンシュアスシティの観点からも高水準の街だ」とし、街が秘める魅力に期待を示した。

 

梅澤高明

第1回会合のレポートはこちら
第2回会合のレポートはこちら
第3回会合のレポートはこちら

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