茶リスタ×バリスタが手がける日本茶スタンド、西荻窪に誕生

テキスト:
Shiori Kotaki
広告

三鷹の森ジブリ美術館近くのユニスタンドで店主を務めていた「茶リスタ」の小山和裕と、ブルーボトルコーヒーの元バリスタ、藤岡響が手がける日本茶スタンド、サテンが4月23日、西荻窪にオープンした。店を構えたのは、この場所で約8年間営業していた弾○(ダンボール)という居酒屋の跡地。海外でのブームもあってか、日本でも最注目されている日本茶の魅力を存分に堪能できる一軒だ。

小山和裕、藤岡響(左から)

そもそも、なぜこの2人がタッグを組んで新しい店を出したのか。それは、「美味しい抹茶ラテを作ろう」という小山の一言からだった。抹茶ラテは、チェーンのカフェやコンビニなど、比較的気軽に味わえる人気のドリンクだが、ただ単に、お茶とミルクを混ぜ合わせれば良いという飲み物ではない。お茶ごとに合う牛乳が違ってくるので、それぞれの相性を考えて作らなければ、本当に美味しい抹茶ラテとは言えないのだ。よくユニスタンドを訪ねていた藤岡が、以前から「コーヒースタンドで出せる抹茶ラテを開発したい」と小山に話していたことに加え、小山がユニスタンドをクローズさせるタイミングと、藤岡がブルーボトルコーヒーを退職するタイミングが重なったことがきっかけとなり、めでたく「美味しい抹茶ラテ」を飲める店が誕生したというわけである。

「このお茶には、低温殺菌の牛乳を合わせよう」など、相性を考えて作られた『抹茶ラテ』(アイス)
その場で点てた抹茶を牛乳に注いだら完成

2人の研究の熱は、日本茶の淹れ方にも注がれている。使用する茶葉の管理はもちろんのこと、様々な基準値を探り、一貫性ある味を目指しているのだ。日本茶は、コーヒーに比べると感覚で淹れてしまうことが多いが、それだと淹れ手によって味が変わってしまう。今後、スタッフが増えた際にも全員が同じ味を出せるように、濃度や水の量、お湯の温度など、基準となる数値を模索しているのだという。コーヒーのように、緻密な数値で淹れられる日本茶。まさに、この2人だからこその観点だ。

時期によって産地が変わる『日本茶シングルオリジン』や、店を作るきっかけとなった『抹茶ラテ』のほか、『砂炒りほうじ茶』『抹茶ビール』などのユニークなメニューも、世のお茶好きを喜ばせることだろう。日本茶や抹茶は、コーヒーで言うエスプレッソに近い「ショット」という飲み方でも提供している。「ショット」だと、ぎゅっと凝縮された旨味と甘みを楽しむことができるので、新たなお茶の魅力を感じられそうだ。もちろん、『アメリカーノ』や『カフェラテ』などのコーヒーメニューも。「コーヒーはサブメニューで、あくまでも日本茶専門店なんです」と言うが、ハイレベルな1杯を提供してくれることは間違いない。

『日本茶シングルオリジン』。サテン(茶店)という名にちなみ、喫茶店を彷彿(ほうふつ)とさせるレトロなカップで提供するのが特徴

和素材と北欧感が絶妙に入り混じった空間も、ぜひじっくり眺めてほしいポイント。特に、手すき和紙を張ったカウンターは、最高にクールだ。和紙やタイルなど、内装に使用した素材も自分たちで見に行き、できるところはDIYで仕上げたという店内。色選びだけで2時間悩むことも珍しくなかったそうで、日本茶だけでなく、店の随所にストイックさが表れている。

手すき和紙を張ったカウンターと、ベロア生地でレトロに生まれ変わったイス
店内の様子。薄いグリーンの壁紙など、ふとしたところに北欧らしさを感じられる

真摯(しんし)にお茶と向き合い、最高の一杯を提供するサテン。取材したのは平日の午前中だったが、次から次へと人がやってきて、店内がサテンファンで溢れてしまうのも時間の問題だと感じた。「本物の日本茶」に出会いたい人は、ぜひ早めに足を運んでほしい。

サテンの詳しい情報はこちら

最新ニュース

    広告