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大規模工事のその先は?2020年の渋谷と観光の未来をキーパーソンらが談義

渋谷トーク
TimeOutTokyo

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた再開発で、駅周辺をはじめとした工事現場が目立つ渋谷。その未来図と観光振興について考えるトークセッション『PLAY! DIVERSITY 2020』2018914日、日本財団と渋谷区が共催する『Social Innovation Week Shibuya』の一環として、渋谷キャストで開かれた。

当日は、渋谷区観光協会代表理事の金山淳吾と、同事務局長小池ひろよをファシリテーターに迎え、渋谷の再開発に関わるキーパーソンや有識者ら6人が、未来の渋谷や観光について談義。工事現場を観光資源に変える区役所の施策案や、シェアリングサービスを活用したツーリズムなど、様々なアイディアが飛び出し、街の未来像について活発に意見を交わした。

ファシリテーターの金山淳吾、柴田なつき、柏本高志、奥野和宏(左から)

新生渋谷パルコと、駅周辺の展望

「シティドレッシング2020〜渋谷の街はこう変わる」と題した第1部には、東京急行電鉄渋谷ヒカリエ運営課の柴田なつき、パルコ執行役の柏本高志、渋谷区役所経営企画課長の奥野和宏柴田が登壇。渋谷区の再開発の中心となる3人が、駅周辺や渋谷パルコなど、それぞれが進める事業の未来図やコンセプトを語った。 

柴田は、東急グループが渋谷の再開発のキャッチコピーとして掲げている「エンタテイメントシティSHIBUYA」をキーワードに、再開発終了後のイメージ動画を披露。2019年秋に開業予定で、渋谷駅周辺で最も高いビルになる渋谷スクランブルスクエアの屋上部分全体が展望デッキになったり、ハチ公前の広場が拡大される予定などを明かした。

金山は、大規模なオフィス階も有する渋谷スクランブルスクエアの説明を受け「カルチャー発信の地という印象が強かった渋谷だが、近年ではIT系オフィスが増え『ビットバレー』とも呼ばれている。オフィスが増えることで街にどんな活力が生まれると思うか?」と質問。これに対し、柴田は「再開発事業で関わった20代〜30代後半の人の中には、本職だけに止まらずSNSやそのほかのリソースも活用し、別の収入源にしている人も多い。そうした新しい働き方に興味・関心が深い若いワーカーが増えることで『エンタテイメントシティSHIBUYA』をけん引していく要素となりうる」とコメントした。また、渋谷で盛んに行われている路上パフォーマンスなどについて「渋谷で活躍したいパフォーマーを支援する制度が追いついてないのは感じている。渋谷キャストなど、東急が関わる外に開かれた広場を活用し、サポートする姿勢を大事にしたい」と語った。

続いて、パルコの柏本は参加者らに2019年開業予定の渋谷パルコの完成予想図を公開。開業すれば、オフィスも入る複合施設となることを明かした。ビルに多数のキューブが食い込んだような特徴的な形状について、柏本は「キューブは原石を表している」と説明。「パルコとしてやりたいのはメインカルチャーではなく、やはりサブカルチャーやカウンターカルチャー、ユースカルチャー。クリエイティビティの本質を大切に、新しい才能をもった原石のショーケースとしたい」とコンセプトを述べた。

渋谷パルコのコンセプトを説明する柏本(中)

また柏本は、「渋谷はほかの街と比べても、所得や年齢層などでセグメントされておらず、許容性が大きいのが魅力。今後は価値観がさらに多様化してくるため、関東、日本全体、アジアなど、グローバルな視点で、渋谷の背景にあるカルチャー性を伝えられるような存在でいたい」と、展望を語った。 

工事現場における観光を強調する奥野(右)

工事現場も観光資源に

区役所で経営企画に携わる奥野は、「工事現場が観光資源」をキーワードに挙げ、2020年の時点でも工事中になる地区が多い渋谷だからこそ、「無機質な工事現場ではなく、仮囲いなどにも渋谷らしい工夫が必要」と強調。大友克洋作の漫画『AKIRA』が描かれたパルコの仮囲いの前で、カニエ・ウェストが写真を撮り、Instagramに投稿した事例などにも言及。海外の事例を基に「例えば、現在、渋谷駅周辺で起こっている工事は『日本一難しい工事』と呼ばれている。その工事の様子が透けて見られる囲いなどを設ければ、それも観光資源になりうる」など、ユニークなアイデアを提示した。

テクノロジーにより進化する観光

第2部では、「シティドレッシング2020〜その先の東京観光の在り方」と題し、一般社団法人新宿観光振興協会事務局長の菊池加奈江、ナビタイムジャパンインバウンド事業部部長の藤沢政志、ANAホールディングスデジタル・デザイン・ラボチーフディレクターの津田佳明が壇上に上がり、2030年を見据えた東京の観光振興の在り方を談義した。

ANAの津田は、シェアリングエコノミーのみで完結するツーリズムの構想を説明。「AirbnbUber、洋服やカバンのレンタルなどは既に普及しており、ANAの座席にも空席はある。こうしたシェアリングエコノミーを持ち寄って、個人に合わせた旅行を実現するパッケージを提案したい」と、旅行中でもシェアリングサービスを利用して旅をカスタマイズできる可能性を語った。 

新しいサービスの展望を語るANAホールディングスの津田(右)

ナビタイム事業部の藤沢は、「2030年の観光がどうなっているか?」という小池の問いに対し、「これから交通が変わってくると予想している。車を購入しなくて済むカーシェアリングのほかにも、スマートフォンさえあれば、乗り換え案内画面からチケットを購入し、タッチ・アンド・ゴーで飛行機に乗れるなど、ワンストップでどこにでもいける時代が訪れる。その時、どんな観光を提案できるかが次のステップ」と強調した。 

 

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