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人は表現を手放さなかった、原爆の図丸木美術館が寄付を募集中

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Sato Ryuichiro
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原爆の図丸木美術館がコロナ禍による収入の不足で経営難に直面、寄付を募集している。同館は『原爆の図』で知られる。この作品は、水墨画家である丸木位里と油絵画家の丸木俊の共作で、1950年〜80年まで制作が続けられた。本館は全15図のうち、第1〜14図を所蔵している。同館自体は、行政主導ではなく、市民の力で50年以上かけて作り上げられてきた。『今日の反核反戦』展などの企画展のほか、キュンチョメや風間サチコなど若手の展示も開催している。

同館は3月頃から入館者が減少、学校見学や作品の貸し出しなどもキャンセルとなり、4月9日から休館を余儀なくされた。同館は運営に年間2,500万円程度を必要とし、入館料収入は毎年1,000万円程度。月平均では約200万円の収入が必要だが、休館によって2020年度の来館者収入はほぼゼロの状況だという。

原爆の図 丸木美術館
『原爆の図』展示室

同館の岡村幸宣学芸員は、以下のようなメッセージを発表している。

「人と人とがつながり、助け合う。同じ場所を共有して、同じものを見て語り合う。そんな社会の基本が断たれてしまう日々の中で、丸木美術館という、無数の人びとが支えてきた『場』の意味を考えています。歴史をさかのぼれば、平和な世の爛熟だけでなく、厳しい時代にあっても人は表現を手放さなかったことがわかります。人間の心をえぐるような痛みや、鋭い社会批評を通して世界の本質に近づくことも、文化の大切な役割です。よろこびも、かなしみも、生きるための力になります。現在、より厳しい状況に直面している方々も多い状況のなかで、支援の声をあげることへのためらいもあるのですが、次の世代に『原爆の図』のある美術館をつなぐため、まずはお気持ちを持ってくださる方との連携を大切にしていきたいと思います。どうぞご協力をよろしくお願いいたします」

同館はこの募金活動を通して同館をより広く知ってもらい、コロナ禍収束後により多くの人が足を運んでくれるための足がかりにしたい考えだ。市民主導の美術館はさまざまな人々の思いが形になった貴重な存在でもあり、ぜひ存続してほしい。寄付は1,000円から、以下のサイトにて受け付けている。

『原爆の図 丸木美術館の緊急支援』の詳しい情報はこちら

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