在日朝鮮人としての自身のルーツを劇作に昇華している劇作家・鄭義信(チョン ウィシン)の代表作『焼肉ドラゴン』が再演される。2008年に韓国の「芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)」とのコラボレーション企画として日韓キャストで初演されるや評判を呼び、2011年、2016年と上演を重ね、今回は日韓国交正常化60周年記念公演として4回目の上演となる。
描かれるのは、「大阪万博」が開催された関西都市の1970年をはさむ3年間。焼肉店を営む一家の運命を通して、表向きは高度経済成長期を迎えて美しく発展する日本の裏側で犠牲になった人々の存在をあぶり出す。
大阪万博が再び開かれ、かつ、移民や外国人労働者を巡って論争も巻き起こっている今こそ観て、日本の来し方行く末にも思いを馳せたいところ。とはいえ決して重苦しいばかりの世界ではなく、笑いもちりばめながら、魅力的な人間たちが生き生きと躍動する感動作だ。
10月の「新国立劇場小劇場」での公演後は韓国公演、全国公演と巡り、12月には「新国立劇場中劇場」で凱旋公演を行う。日韓キャストが国境を越えて届ける渾身の舞台は見逃せない。
※開演は13時30分〜、18時30分〜(日によって異なる)/休演日は14、21日(9日は貸切)/料金は3,300円から(席によって異なる)
テキスト:高橋彩子

