K-BALLET Opto『踊る。遠野物語』
画像提供:Bunkamura/K-BALLET

K-BALLET Opto『踊る。遠野物語』

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タイムアウトレビュー

「芸術がいかに社会にその価値を還元していくか」という命題に応えるべく、BunkamuraとK-BALLET TOKYOが2022年に立ち上げたプロジェクトK-BALLET Optoが、第4回公演として『踊る。遠野物語』を上演する。

普段、壮麗な古典の全幕バレエを届けているK-BALLET TOKYOだが、この企画ではこれまで、プラスチック汚染に着眼し東京中の廃ビニール傘やペットボトルを用いて2作を上演した「プラスチック」やヤングケアラーに焦点を当てたジュゼッペ・スポッタ(Giuseppe Spota)振付・演出の『シンデレラの家』など、よりダイレクトな形で現代の問題を扱ってきた。

今回の『踊る。遠野物語』は、東北出身の特攻隊員が許嫁(いいなずけ)に宛てた手紙の「ただ無性にあなたに会いたい」の言葉と、三陸大津波で亡くなった妻の幽霊と浜辺で再会する男を描いた柳田國男の『遠野物語』第99話とを重ね合わせる形で生まれた。

1945年8月。特攻隊員の青年は許嫁・響子に宛てた遺書を胸に、戦地へと飛び立つが、いつしか遠野の地に迷い込む。そこで、あの世とこの世を自由に行き来する不思議な少年Kに導かれながら、河童(かっぱ)、天狗(てんぐ)、山姥(やまんば)、座敷わらし、サムトの婆、死者、山人たちなどに出会う特攻隊員。やがて彼は海辺で響子に再会するが、響子は青年の死を受け入れて新たな人生を歩み始めており……。

演出・振付・構成は森山開次。特攻隊員の石橋奨也、許嫁ほかの大久保沙耶を筆頭とするK-BALLET TOKYOのダンサーたちに加え、少年Kに若き歌舞伎俳優・尾上眞秀、死者ほかに舞踏家・麿赤兒、山姥に舞踏舎天鷄主宰の舞踏家・田中陸奥子、河童に森山開次、さらには麿が率いる大駱駝艦のメンバーなどが多彩な踊り手が登場する。

柳田國男生誕150年、戦後80年の節目で上演される本作は何よりも、私たちが生きる今を映し出すものとなるに違いない。

※26日は15時から、27・28日 昼の部は12時30分から、夜の部は17時から/料金は5,500円から(席によって異なる)

テキスト:高橋彩子

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