西荻窪の住宅街にひっそりとたたずむビンテージショップ「プベル(poubelle)」。人の手の痕跡を残す外観は、店というよりも住居のように見える。壁に掛けられた控えめな看板を見落とせば、そのまま通り過ぎてしまいそうだ。
小さなノブをつまんで扉を開けると、店主の矢澤剛によって居場所を与えられた古物が、薄明かりに包まれた空間に静かに置かれている。ひっそりとした空気に触れると、不思議に自然と「もの」に目を向けたくなる。
店内には、アーティストの作品も古物と区別されることなくさりげなく飾られている。井出賢嗣や伊藤誠、菅木志雄らの作品に加え、ブリンキー・パレルモ(Blinky Palermo)のシルクスクリーンも、それが作品だとは気が付かないほどだ。
矢澤がこれまで磨いた審美眼を頼りに、品々は慎重に選び抜かれている。ぼんやりしていれば見過ごしてしまいそうなものが、この小さな店に置かれた途端に別物になる。店を後にするころには、矢澤のように「自分の選択」により慎重でありたいと思うはずだ。
同店は、ものを売る店である以上に、見る人の目に委ねる場所。勇気を出して扉を開けてほしい。