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墨田区京島の「下町人情 キラキラ橘商店街」の中ほどに建つ、2025年5月にオープンした書店「kamos(カモス)」。100年超続く銭湯「電気湯」の4代目・大久保勝仁と、曳舟の街づくりに携わってきた共同代表の柳下藍が営む希有な書店だ。
「いい本あり〼」の立て看板を横目に、元鮮魚店だったという味のある店内に入ると、100冊ほどの人文・哲学の本が並ぶ。しかしなぜ、銭湯と街に関わる2人が書店なのか。
ちょっとした会話が生まれる銭湯コミュニティーと異なり、あいさつさえ交わすことなく人と人の距離が遠のき、なるべく波風を立てないように「澄んでいく」社会に対しての違和感が根底にあるという。
また、分断が叫ばれる一方でつながりが強調されるが、そこからこぼれ落ちる人がいる。つながらなくても「ともにある」という道を本を介して模索し、対話と学びの場を創出したい――という店のしおりにも書かれている「共在の醸造」がコンセプトだ。
その一環として、哲学者の朱喜哲(チュ・ヒチョル)や美学者の伊藤亜紗をはじめ、25人のキュレーターが選書した本が届けられるサブスクリプションサービスを行っているのも特色である。
店の奥には選者たちの本が置かれているが、店内にはスペースも書棚にも空きが見られる発展途上の書店だ。その余白の中で、どんな言葉や考え、思いが醸されていくのだろう。新たなイベントの計画も続々と進行中という。コンセプトに共鳴する人は、ぜひ足を向けてほしい。
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