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高円寺はビンテージの街として広く知られているが、目的地を誤れば、「観光地化」の波に飲まれるリスクを伴う。どこかの工場から決まったサイクルで出荷されたような、金太郎あめ的なハワイアンシャツやハーバード大学のスウェットを並べる「量産型ビンテージショップ」に引っかかってしまうのがオチだ。
たとえそのわなを回避できたとしても、最終的に慈善リサイクルショップなら半額で手に入るような代物をつかまされて店を出ることになりかねない。高円寺でのショッピングを真に実りあるものにするには、相応の「ディグ」能力か、地元民や事情通の知識が不可欠である。だからこそ、とっておきの案内役を買って出よう。
「HIGAN」は高円寺のPAL商店街に位置しているが、一歩足を踏み入れれば、あなたを「不思議の国」のファッションの「ウサギの穴」へと引きずり込む。いや、店舗は2階にあるため、正確には「引き上げる」と言うべきか。ここは東京という都市の中でも、最も物欲を刺激される楽しいラックの一つなのだ。
野生味あふれるビンテージのセレクト、非の打ち所がない新進ブランドのキュレーション、そして何よりスタッフたちのたたずまいは、今すぐにでもステージに立てるレベルである。「なぜ火曜日の午後に、往年のロックレジェンドのような格好をしているのか?」と思わず問い詰めたくなる。
ラックにはビンテージと並び、「MeleM」「doublet」「FACETASM」「KIDILL」「FUMITO GANRYU」といった日本の急進的なブランドが鎮座しており、彼らが「気まぐれな遊び心としてのファッション」に正面から向き合っているかがうかがえる。
その執念はインテリアにも及び、天井から床まで一面にさまざまな毛皮が敷き詰められたファールームは、まるで最高にスタイリッシュな、『不思議の国のアリス』に出てくる「マッドハッター(いかれ帽子屋)」の脳内に入り込んでしまったようだ。
HIGANが提案するのは、高円寺独特の泥臭いテイストに「物語の主人公」としての強烈なスタイルを融合させた世界である。セレクトのクオリティーは極めて高く、そこに妥協や疑問の余地を残すアイテムは一つとしてない。コスプレに陥ってしまう一歩手前、その限界ギリギリの境界線上で繰り広げられる「大人の服遊び」である。
熊の爪があしらわれたローファーに、クラシックなスリーピーススーツとスタッズ付きの帽子を合わせるという、最高に「ばかばかしい」コーディネートが日常的に提案され、それがどういうわけか、完璧に成立してしまうのである。
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