国内外で目覚ましい活躍をみせるアーティスト、毛利悠子。2024年の第60回「ヴェネチア・ビエンナーレ」の日本館で発表した個展「Compose」は各国のメディアで大きな反響を呼んだ。その展覧会を元に再構成された帰国展が、「横浜美術館」で日本初公開される。
毛利は、磁力や重力、空気の揺らぎといった自然現象を手がかりに、身のまわりの人工物や自然物、機器を組み合わせたインスタレーションを制作してきた。不規則な動きやノイズ音を生み出す作品群には、目に見えないエネルギーの循環やもの同士の関係性といった自然の摂理がユーモアを交えて表現されている。
本展では、「水」を主要なモチーフとして展開し、ベネチアと横浜という二つの水の都を結ぶ。コロナ禍や各地で続く紛争など、分断が深まる現代社会を背景に、「共存」や「共生」の在り方を問いかける。
展示は二つのシリーズによって構成。一つは、東京の地下鉄構内で目にした水漏れと、それに対処する駅員たちの即興的な工夫から着想を得た『モレモレ』。身近な日用品を用いて、水が循環する独自のシステムを立ち上げる。もう一つは、果物が朽ちていく過程を扱う『デコンポジション』で、電極を刺された果実の水分量の変化が、不規則な光や音となって現れる。いずれも水の循環や変容を可視化する作品であり、光や音、匂いを伴いながら鑑賞者の五感へと働きかける。
会場となる「ギャラリー9」は、新設されたガラス張りの展示室だ。自然や日常とアートを結びつけ、絶えず変化する現象に目を向ける毛利の作品は、刻々と移ろう光や風景を取り込むこの空間と響き合い、新たな表情を見せるだろう。
※10~18時(11月21・22日は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は木曜(8月13日、9月24日、11月19日は開館)/入場は無料


