埼玉県出身で大正期に交流した写真家の野島康三(1889~1964年)と洋画家の斎藤与里(1885~1959年)。ともに明治後期から昭和中期にかけて表現者として制作を続ける一方、画廊経営者やコレクター、あるいは教育者としても日本近代美術の発展に寄与した。「埼玉県立近代美術館」では、そんな2人に焦点を当てた展覧会が開催される。
野島は、「芸術写真」と呼ばれた潮流の下、絵画からの影響を受けつつも写真ならではの表現を追究。写真家と写真館の経営者として活動するほか、自らが経営する画廊「兜屋画堂」や自邸での展覧会を開催し、美術品撮影なども手がけた。
斎藤はフランス留学を経て帰国後、西洋美術の思潮を吸収した作品を発表。やがて南画の影響を受け、日本の風土に根差した油彩画を追求し、晩年には伸びやかな表現を開花させた。
本展では、2人の交流を起点に各々の足跡をたどり、岸田劉生、萬鉄五郎、関根正二など関連作家の作品や資料も紹介。多岐にわたる活動を通じて同時代美術を支えた両作家の視点から、日本近代美術の一側面を浮き彫りにしていく。
※10時~17時30分(展示室への入場は17時まで)/休館日は月曜(祝日は開館)/料金は1,400円、学生1,120円、中学生以下は無料






