1963年、ナムジュン・パイク(Nam June Paik、1932~2006年)は西ドイツでメディアアートを発表し、その後の映像表現に大きな影響を与えた。映像と音を組み合わせ、一見ユーモラスでありながら現代社会の問題を鋭く突く作品群。ブラウン管からAIへと技術が進化した現在も、その作品は色あせることなく、新たな視点を投げかけ続けている。
パイクの没後20年となるこの夏、「ワタリウム美術館」で開催される「没後20年 ナムジュン・パイク|じゅげむ展」では、アーティスト・文人・哲学者・予言者としての側面から、その創造の軌跡を見つめ直す。会場の2~4階は全てパイク作品で構成される。
2階では、『ケージの森/森の啓示』を中心に、フロア全体を森に見立てる。実際の樹木を用いることで、植物の匂いや変化を伴う生きた空間を生み出し、『時は三角形』や『ロボットK-567』などの立体作品を織り交ぜながら、自然と文明の共存を表現する。
3階では、未公開のコラージュ作品をはじめ20点以上の平面作品を紹介。『TV植物』などブラウン管を用いた立体作品や、パイクの発想の源泉となったドローイングも並ぶ。4階では、三原色の光によって壁面に大きく映し出されるロウソクの作品『ニューキャンドル』を会場全体に展開するほか、「心」をテーマとした作品群を紹介。また、詩作品『for Mr. I & Mr. I』を上映し、パイクの精神性を空間全体へと広げる。
時代を超えてなお斬新さが際立つパイクの作品群を通して、その豊かな想像力と先駆的な視点に触れてほしい。
※11〜19時/休館日は月曜(9月21日、10月12日、11月23日は開館)/料金は1,500円、70歳以上・25歳以下・学生1,300円、小・中学生500円、未就学児無料
