「東京ステーションギャラリー」で、日本近代洋画の改革期に活躍した画家・小林徳三郎(1884~1949年)の初の大回顧展「小林徳三郎」が開催。約300点の絵画と資料で、小林の半生と画業の展開をたどる。
東京美術学校を卒業後、先駆的な絵画表現で注目を浴びたフュウザン会に参加し、出版の仕事や劇団「芸術座」の舞台装飾に携わった小林。洋画家として、イワシやアジといった魚を主題とした作品を数多く描き、周囲に強い印象を与えた。
40代半ばからは、自分の子どもたちや日常の光景を題材にした作品を多く制作。時にアンリ・マティス(Henri Matisse)を思わせる色彩と筆遣いの静物画も生み出す。晩年は自然風景に関心を向け、死の直前まで精力的に筆を握り、春陽展への出品を続けた。
注目は、メインビジュアルにもなっている長年行方不明だった代表作『金魚を見る子供』。1929年に「春陽会」第7回展で発表し山本鼎に絶賛された本作は、小林が息子を描いた家族像で、戦後しばらく所在が分からなくなっていたが、今年春に発見された。
「空気のはいった、生活のはいった何気なさにある」と表現される、小林による日常的な光景を堪能してほしい。
※10~18時(金曜は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(11月24日、1月12日は開館)、11月25日/料金は前売り(11月21日まで)1,100円、学生900円/当日1,300円、学生1,100円、中学生以下無料






