クィアカルチャーへのまなざしを軸に、アートとファッションをはじめ、多様なカルチャーを横断的に探求する台湾発の気鋭のフォトグラファーでアーティストの、マンボウ・キー(登曼波)による個展が開催。写真、映像、音楽といった表現を用いて、制作活動を行うキーの全てを総覧する。
思春期、父が秘蔵していた自撮りのセックステープを偶然発見したキー。この体験を契機として、自身のアイデンティティーおよび家族関係の深層に迫る探求を開始した。2019年には、アジアで初めて同性婚が合法化された台湾で、代表作『Father’s Videotape』を発表する。
本展は、父から譲り受けた50本以上のビデオテープの中から見つけた、「居家娛樂」という言葉を出発点に構成。テープは、1980年代から2000年代にかけての父親の性、娯楽、旅、そして「大陸の夢」を記録したもので、私的記録にとどまらず「誰かに見せること」を意図していた。
キーは、これらのビデオテープを客観的な視点と介入の視点を交え、時代背景を解体。そして現代を交差させ、家族、ジェンダー、セクシュアリティー、クィアアイデンティティーといった、個人的かつ社会的なテーマを探求している。
さらに、ファッションフォトグラファーとして「Vogue Taiwan」や「Marie Claire」などで撮り下ろしてきた作品の発表のほか、日本初となる写真集も刊行予定だ。
なお、LGBTQ+コミュニティーをたたえ、差別や偏見のない社会を築くことを目指した啓発活動とイベントの期間である「グローバルプライド月間」として、入場は無料。ぜひ訪れてほしい。
※11〜21時(6月9日は18時まで)/入館は閉館の30分前まで/入場は無料