「国立新美術館」で、アジア人で初めてパリ・オートクチュール正会員となり、日本のファッションをリードした森英恵(1926〜2022年)の回顧展が開催。オートクチュールのドレス、資料、初公開となる作品を含む約400点を通じて、森のものづくりの全貌を明らかにする。
高度経済成長期の日本において、家庭と仕事を両立しながら活躍し、新しい女性像の象徴として受け止められた森。1961年には雑誌『装苑』で、快活さと向上心を備えた人物像「ヴァイタル・タイプ」を提唱し、晩年まで世界を股にかけて活動した。
会場では、1977年から膨大な数のオートクチュールコレクションから、テーマごとにドレスを展示。高品質な素材と卓越した技術を持って世界に挑んだ一点ものの作品群から、森の美意識と創造力の高さを体感できる。
また、多彩な衣装や資料を通して、森のアメリカ時代の活躍を網羅的に展示。まずは、森が日本の帯地や絹織物を用いて生み出した作品に注目したい。日本的美を体現する絹地に鮮やかな色彩のプリントを施したオリジナルの布地とともに、近年の調査で新たに確認された布の原画や試し刷りを紹介している。
そして、ニューヨークの「メトロポリタン美術館」に所蔵されているドレスも日本初公開。伊藤若冲『月下白梅図』に着想を得て制作した1着を含む、計4点が出品される。
さらに、森がファッションを文化にするために力を注いだメディア発信にも焦点を当てている。森は1966年に『森英恵流行通信』を創刊。後に『流行通信』となり、日本を代表するファッション誌へと発展した。また1978年には表参道に「ハナヱ モリビル」を開設し、国内外のデザイナーが集う拠点を築いた。
デザイナーとしての表現だけではなく、生き方とその創造の根幹にまで迫るまたとない機会。会場でこそ味わえる体験が待っている。
※10~18時(金・土曜は20時まで)/入場は閉館の30分前まで/休館日は火曜(5月5日は開館)/料金は前売り2,000円、学生1,600円、高校生1,200円/当日2,200円、学生1,800円、高校生1,400円、中学生以下無料





