恵比寿の「MEM」で、近年ドローイングや、絵画の制作に力を注ぐ作家・松井智惠の個展が開催。松井が2017年から継続している「Picture」シリーズの第4弾となる展覧会で、パステルをメインに水彩の複合技法、油彩、ネオンの作品を紹介する。
松井が2024年に制作した一枚の作品「リチャペル・アテル」という題を、本展では使用。その絵は版画技法のモノタイプによって転写されることで、元の絵が反転して鏡合わせの架空の世界が現れる。その絵の世界の住人に、松井が造語によって名付けたのが「リチャペル・アテル」だ。
本展は、「リチャペル・アテル(彼/彼女)」がいる世界を舞台に構成し、その入り口として短い物語が付随。また、展覧会の副題には「発するもの、抑えるもの」という言葉が添えられている。
松井自身が何かに抑圧され、声を飲み込むような感覚で描いた作品に封じ込めた思いと、アテルが住む世界が「絵=Picture」を媒介に接続する本展。ぜひ足を踏み入れてほしい。
※13〜19時/休館日は月曜(祝日の場合は翌日)/入場は無料