テレサ・フレイタス写真展「Colour Matter(s)」
Leica Gallery Kyoto © Teresa Freitas
Leica Gallery Kyoto © Teresa Freitas

大阪、5月に行くべき無料のアート展10選

国際的に活躍するアーティストから気鋭作家まで、大阪・京都のアート散歩

Chikaru Yoshioka
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 「ちょっと気になる展示をのぞいてみたい」――そんな時にうれしいのが、無料で楽しめるアート展だ。大阪・京都ではこの5月、テレサ・フレイタスによる写真展や、現代アーティストの京森康平による個展、さらに京都・西陣のテキスタイルブランド「HOSOO」とアーティストのシアスター・ゲイツによるコラボレーション展など、ジャンルを横断する多彩な表現が揃う。

新しいアートとの出合いを求めて、気軽に立ち寄ってみてほしい。

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  • アート

HOSOO GALLERY」で、京都・西陣のテキスタイルブランド「HOSOO」とアーティストのシアスター・ゲイツ(Theaster Gates)によるコラボレーション展が開催される。本展では、2024年から協働を重ねてきた両者が、織物や衣服を芸術的実践として探求してきた成果を紹介。その対話から生まれた新作群が一堂に並ぶ。

陶芸や彫刻、音楽、パフォーマンス、建築的介入など多領域にわたる活動で知られるゲイツは、失われつつある空間や歴史、儀礼に新たな価値を見いだしてきた。一方、1688年創業のHOSOOは、伝統を背景にしながらも革新的なテキスタイル制作に取り組んでいる。

本展の核となるのは、アフリカの伝統衣装「ダシキ」と日本の「着物」という異なる文化から着想を得た「Dashikimono(ダシキモノ)」。民族的ルーツや1960年代のブラック・パワー運動とも結びつくダシキと、着物の構造が交差し、新たな衣服の形態が提示される。

また、ゲイツの重要なモチーフである陶の「Vessel(器)」も登場。衣服と器を通して、儀礼や工芸、共同体の歴史が身体のメタファーとして立ち上がる。さらに、黒人解放運動の記憶を織り込んだ帯のシリーズも公開。日本の伝統的な装束である帯を、記憶と追悼の媒体として捉えた作品だ。

アフリカと日本、それぞれの服飾文化の系譜を横断しながら、工芸への敬意とともに、文化的に重要なアーカイブに光を当てる試みの本展。ゲイツの実践を貫く「社会を動かす力」が体現されている。

  • アート

「阪急うめだ本店 Contemporary Art Gallery」で、現代アーティストの京森康平による個展「EXPRESSION “M”」が開催される。本展では「M=Majesty(威厳)」をテーマに、王族や権力者を想起させる人物像をモチーフとした新作を中心に紹介する。

京森は、過疎地域で酪農を営む家庭に生まれ育ち、人口減少が進む地方と都市への一極集中という構造的な非対称性を体感してきた。その経験を背景に、現代におけるアイデンティティと視覚表現の関係を探求。宗教美術や歴史的装飾文化を参照しながら、鮮やかな色彩と緻密な構成、独自の素材表現を組み合わせ、強い視覚性を持つ作品を生み出している。

本展では、勲章や刺青、宝飾、刀剣といった象徴的モチーフをまとった作品が並ぶ。装飾によって拡張された身体を思わせるイメージは、歴史の中で形成されてきた権威や力の構造を、現代的な視覚言語として再構成したものだ。鮮烈な色彩と装飾性が強い引力を生む一方で、その奥には人間の欲望や社会構造への問いが潜んでいる。

京森の代表的な表現を通して、装飾が持つ力とその意味を改めて提示する本展。強い存在感を放つ作品群を会場で体感してほしい。

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  • アート

「ライカギャラリー京都」で、ポルトガル出身の写真家、テレサ・フレイタス(Teresa Freitas)による写真展「Colour Matter(s)」が開催される。本展では、色を装飾としてではなく、空間や知覚を形作る要素として位置づけたシリーズを紹介。出来事の記録にとどまらず、世界がどのように視覚的に構成されているかを探る作品群が並ぶ。

色彩を主題に、ストリート、ドキュメンタリー、ファインアートの領域を横断しながら独自の視覚言語を築いてきたフレイタス。その作品は、色を空間を構築し知覚を導くための根源的な力として捉え、現代写真に新たな視点を提示している。

光と色が呼応し、遠く離れた場所同士が静かに結びつく瞬間、フレイタスの写真は地理や文化の境界を超え、視覚的な連続性の中に世界の新たな輪郭を浮かび上がらせる。

  • アート

ISSEY MIYAKE SEMBACREATION SPACE」とISSEY MIYAKE GINZA | CUBEで、「132 5. ISSEY MIYAKE『西村陽一郎 光がふれる、折りとかたち』展」が開催。本展は、202651日(金)に発売される「132 5. ISSEY MIYAKE」の新アイテム「NO. 6 TRANSLUCENT」にフォーカスする。

ブランドの基盤となる折り構造「NO. 6」に透過という要素を掛け合わせた本シリーズを、写真家・西村陽一郎が「フォトグラム」と「スキャングラム」という二つの技法で可視化。衣服に宿る不可視の構造に光を当てた。

印画紙の上に被写体を置いて感光させるフォトグラムでは、透過性のある生地ならではの構造線や光によって現れる形が、抽象的な像として立ち現れる。一方、プロダクトの設計段階で制作される模型をスキャナ上に置き、透過光によって捉えるスキャングラムでは、折り構造の純粋な構成が精緻に描き出される。

両者が映し出すのは、衣服の姿を超えた、線・面・層が織り成す形の風景。光を通して折りと形の奥行きに迫る、静かな発見に満ちているだろう。

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  • アート

「アニエスベー京都BAL店」で、写真家の小浪次郎による個展「I.D 1986」が開催。本展は、2025年に東京の「AGNÈS B. GALERIE BOUTIQUE(アニエスベー ギャラリー ブティック)」で好評を博した展示の巡回展となる。

小浪はこれまで、自身の制作と並行しながら、多様なクリエーターやファッションブランドとの協働を重ねてきた。その活動に一貫するのは、被写体と向き合う瞬間を鋭く捉える感受性であり、私写真・ファッションフォトを問わず、作品には常に生の強度が刻み込まれている。

自らの指紋ともいえるタイトルを冠した本展では、初期の作品から、ストリートで多くを学んだ東京でのシリーズ、そして現在の拠点であり多様な人々が交差するニューヨークで近年撮影された作品まで、50点以上を紹介する。

※11〜20時/入場は無料

  • アート

「SUCHSIZE(サッチサイズ)」で、早川祐太と大西伸明による展覧会「drifting elements」が開催される。

量子物理学者のカレン・バラッド(Karen Barad)が提唱した「エージェンシャル・リアリズム」は、世界を独立した個体の集合ではなく、分かちがたく絡み合う「現象」として捉える視点だ。本展に参加する早川と大西もまた、物質や出来事と交差する制作プロセスを通して、そうした複雑な関係性を可視化してきた。

展覧会は、万物が相互に関係しながら立ち現れるという視座を軸に構成。人間だけでなくあらゆる存在を「エージェント(行為する主体)」として捉え直し、人間中心の視点から離れた新たな世界との関わり方を探る試みだ。

早川は、近代的な「個の表現」から距離を置き、「自然現象の構成に参入する」ことで彫刻を立ち上げる。一方、大西は版画技法を応用した精密な型写しと着彩によって、日用品の形態を徹底的に写しとる。

作品、メディウム、現象、そして鑑賞者が交差する本展のダイナミズムは、見る者の解釈によって多様に変化していく。鑑賞者自身もまた、この世界のもつれの一部として、新たな意味を立ち上げる存在となるはずだ。

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  • アート

「京都写真美術館 ギャラリー ジャパネスク」で、廖文瑄による写真展が開催。「残響記・息」は、作家自身の三度にわたる妊娠の経験を記録した写真日記。本展では、内側から外へと広がる生命を「反響(Echoes)」「再生(Rebirth)」「回帰(Return)」の3章でたどるとともに、万物の宇宙と生命の融合を象徴するランドスケープインスタレーションによって構成される。

ステートメントは以下の通りだ。

「三度の妊娠に刻まれた光や声の残響が、そして消え去っていったはずの声が、心の中で反響しながら視覚イメージとして立ち上がっていく過程を記録するとともに、振動や痕跡として時間の流れに残った感情を写し留めた。光に照らされて浮かび上がる声のかたち——残響は、私の記憶と感情の共振である。人生の出来事が過ぎ去った歴史となった今も、声はいまだ虚空の中を漂っている。この写真日記は、花火の光の下で妊娠の経験を通して、消失と再生の物語を織りなしていく。

鑑賞者は私の人生の出来事の目撃者であると同時に、残響の一部ともなる。観ること、触れることを通して、現れるものと消えていくもののあわいに潜む、かすかな光や息遣いを感じてほしい」(一部抜粋)

  • アート

「京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA」で、シンガポール出身のアーティスト、ロバート・ザオ・レンフイ(Robert Zhao Renhui)による個展が開催。本展では、オーストラリア領クリスマス島、シンガポール、東京、インド・ハンピ、タイ・プーケットでの長期プロジェクトに基づく作品群を通じて、近年の活動を包括的に紹介する。

写真や映像、インスタレーションなど多様なメディアを用い、人間と他の生物、自然との関係を探究してきたザオ。人為的な管理の下で形成された環境と、そこに生きる生物を継続的に観察しながら、自然と人工が複雑に絡み合い変容していく過程を丁寧に描き出し、批判的に考察する作品を手がけてきた。

会場の「京都市立芸術大学」は、氾濫を繰り返し、戦後の大規模な河川改修事業によってようやく現在の制御された姿となった鴨川、そして江戸時代に運河として開削された高瀬川という2つの河川に隣接している。こうした歴史を背景に、ザオは本展を「アフター・コントロール」と名づけた。

展示室の外には、再開発が進む中で新旧の建築や空き地が混在する風景が広がる。その景観と、ザオの視点で捉えられた多様な生物の姿が響き合い、自然と人間の関係、さらには地球上の生態系の未来へと思考を促していく。

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  • アート

「梅軒画廊」でグループ展「懸想の眸」が開催される。誰かを思う心がまなざしに宿る瞬間を、5人の日本画家による多彩な表現を通して紹介する。

出展作家は、宮下舞香、森萌衣、柳田真理、高資婷、山本有彩。内に秘めた思いがやがて色となって立ち現れる――その密やかな感情の揺らぎと繊細な描写に触れられるだろう。

  • アート

「ニコンプラザ大阪」内の写真展会場「THE GALLERY」で、企画展「東京カメラ部10U-22展『次世代が切り取った世界』」が開催。次代を担う若きクリエーターたちがカメラで捉えた、多様な視点の世界を紹介する。

本企画は2020年から東京カメラ部との共催でスタートし、「次世代を担う若者が撮影する作品」をテーマにフォトコンテストを実施。これまで6回の開催で、応募総数は5万1312点上る。各回から選出された10作品、計60作品が「東京カメラ部10U-22」として認定されてきた。

2025年の認定者10人は、特典としてミラーレスカメラ「Zシリーズ」のモニター機を用いて新作を制作。本展ではその最新作に加え、これまでに選出されたフォトグラファー23人の作品を合わせ、計33人による作品群を展示する。

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毎年、タイムアウトで発表している世界で最もクールな街」ランキング。世界中のライターや編集者により推薦されたエリアは、文化・コミュニティー・住みやすさ・ナイトライフ・飲食・街のにぎわいなどの基準で評価される。2025年度版では、東京・神保町が堂々の第1位に輝き大きな話題となったが、大阪・中津も世界ランキングで8位に躍進し、その魅力が世界に認められた。

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