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新たな価値観や意味をもつアートと音楽を、日本を舞台に世界に向けて発信するプロジェクト「MUSIC LOVES ART」が、今年も大阪と幕張の「SUMMER SONIC」2会場を中心に開催された。

大阪会場である万博記念公園には、バルーンを用いた現代美術インスタレーションを手がけるbabot(アトリエ · バボット工房)によるバルーンロボット作品「夢夢夢(むむむ)」をはじめ、6カ所に複数作品が8月17日(日)まで展示されていた。

1周約45mという長さのあるバルーンインスタレーションは、本年のコンセプトである「転調の光景」にちなんで、一つの大きな動物のようでありながら色やモチーフが何度も転調する作品だ。アーティストの夢、来場者の夢、それらのさまざまな思い出やストーリーなどが混ざり合っており、表と裏、左右など見る場所によって異なる顔を見せる。エヴァリー・ブラザースの楽曲「夢を見るだけ(All I Have to Do Is Dream)」(1958)に着想を得て作られたもので、今日出会った全ての人やものと「夢」の中でつながってほしいという願いを込めたという。まさにフェス会場ならではのものといえるだろう。

このほか、大阪にぎわい創出事業「OSAKA ART VIBES」による作品、Yotta(木崎公隆、山脇弘道)の「穀(たなつ) 」や「花子」なども会場には点在していた。
文化庁長官の都倉俊一は「アート、音楽ともに魅力的な国内コンテンツをが日本には多くあり、民間企業と連携しながらそれらを後押ししていきたい」とさらなる意欲を示す。また、アジアの文化芸術コンテンツは近年急成長を遂げており、クリエーターらが自国だけではできないことを同プロジェクトの中で世界に向けて表現することは、日本にアジアの才能を集めていくことにもつながるだろうと示唆した。

大阪では、梅田駅前、JR大阪駅、堀江公園、萬福寺、中之島公園、心斎橋パルコなどしないか市内各所で作品を展示。8月31日(日)まで鑑賞できる。森山大道の写真作品をはじめ、アーティストのYOSHIROTTEN率いるクリエイティブスタジオのYAR (ヤール)のなど注目すべきものも多い。
音楽フェスティバルの会場には、ほかにはない熱がある。同プロジェクトはまだ駆け出したばかりだが、熱を持って音楽とアートが互いにせめぎ合う場になれば、新たな形のフェスの誕生といえるだろう。
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