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電子音楽および実験音楽の分野において、世界で最も影響力のあるフェスティバルであり、プラットフォームの一つである「Unsound」。2003年にポーランド・クラクフで設立されて以来、これまでに30以上の都市で開かれ、ジャンルや国境を越える冒険的なサウンドとコラボレーションを追求してきた。
今回、ポーランドの「2025年日本国際博覧会」(以下、大阪・関西万博)への参加の一環として、「Unsound Osaka 2025」が、2025年9月5日(金)〜7日(日)に大阪市内の複数会場で日本初開催される。プログラムは、今秋開催が予定されているニューヨークやクラクフでのメインフェスティバルと並ぶ、一連のシリーズとして展開する。
大阪初、坂本龍一の展覧会とコラボ
大阪版では、ポーランドと日本のアーティストに焦点を当て、伝説的な存在から国際的に注目を集める新進気鋭のアーティストが出演。初日の5日には、「ヴイエス(VS.)」で8月30日(土)から開催する坂本龍一の展覧会「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」とコラボレーションする。電子音楽および実験音楽の先駆者たちに敬意を表し、過去と未来をつなぐ一夜となるだろう。

見どころは、1970年の「日本万国博覧会」(以下、大阪万博)のためにフランソワ・バシェ(François Baschet)が制作した、灰野敬二による「バシェ音響彫刻」の演奏。この楽器は、坂本が18歳の頃に大阪万博を訪れた際、強い影響を受けたとされるもので、灰野によるバシェの演奏は今回が初披露だ。

また、オーストラリアのロビン・フォックス(Robin Fox)が、同国の世界的なクリエーティブ機関・ARS Electronicaから「冨田勲特別賞」を受賞した、レーザーと音を駆使した作品『Triptych』を発表する。

オープニングには、ジム・オルーク(Jim O’Rourke)と石橋英子が登場し、ポーランドの作曲家であるヴウォジミエシュ・コトニスキ(Włodzimierz Kotoński)の楽曲のライブリミックスを披露する。

実験音楽・アンビエント・クラブ・ラップなど多彩なジャンルを横断
2日目の6日は、名村造船所大阪工場跡地に設立された「クリエイティブセンター大阪」を舞台に、実験音楽・アンビエント・クラブ・ラップなど多彩なジャンルを横断するプログラムが展開。会場には「STUDIO PARTITA」と「Black Chamber」、そして大阪のローカルDJたちによる「屋外DJステージ」と、3つのステージが登場する。
「STUDIO PARTITA」では、ポーランドのピアニストで作曲家のハニア・ラニ(Hania Rani)が、ピアノとエレクトロニクスを組み合わせた新作を発表。また、大阪の伝説的存在である∈Y∋が、C.O.L.Oとの「A/Vショー」を繰り広げる。


さらに、ポーランドのプロデューサーである2K88が、自身のアルバム『SHAME』をベースにしたセットを披露し、日本のヒップホップシーンで着実に評価を高めるラッパーのralphがゲストとして登場する。

「Black Chamber」では、日野浩志郎と中川裕貴によるデュオKAKUHANが、ポーランドの打楽器奏者のアダム・ゴワビエフスキ(Adam Gołębiewski)と共演。また、日本のサウンドアーティストのFUJI||||||||||TAと、ニューヨークのアーティスト、カー・ベアード(Ka Baird)が空気・圧力・呼吸・ノイズを活用したパフォーマンスを公開する。

世界的な3人のポーランド人アーティストが登場
7日(日)は、1935年に開館した「大槻能楽堂」に、アントニーナ・ノヴァツカ(Antonina Nowacka)、ラファエル・ロジンスキー(Raphael Roginski)、ピオトル・クレク(Piotr Kurek)という世界的に高く評価されている3人のポーランド人アーティストが登場。マルチな演奏家で作曲家のクレクは、世界でも類を見ないアンダーグラウンドの象徴的存在であるジム・オルークと石橋英子と初共演する。

なお、今後の第2弾の発表では、大阪市内各所で行われる深夜のクラブイベントや、クリエイティブセンター大阪の追加出演者にフォーカスした内容が予定されている。日本初上陸となる「Unsound Osaka 2025」を見逃さないでほしい。
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