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「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」 内の文化施設「ヴイエス(VS.)」で、展覧会「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」が、2025年8月30日(土)から9月27日(土)まで開催される。坂本龍一と1970年に開催された「日本万国博覧会」(以下、大阪万博)の接点に着目しつつ、坂本のサウンドインスタレーションなどを公開する大阪で初となる大規模企画展だ。
坂本が遺したものを共有化する試みとして始動した「sakamotocommon」が、若き日の坂本が受けた刺激を次世代のクリエーターたちへ届ける。
坂本の創作活動に深い影響を与えた1970年の大阪万博
大阪万博で、当時18歳だった坂本は多彩な音楽やアートに触れた。坂本が敬愛する武満徹の『クロッシング』『四季』や、小学生の頃から影響を受けた高橋悠治の『慧眼』、「西ドイツ館」ではカールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)が『Spiral』の公演を連日行っていた。
また、「ペプシ館」では中谷芙二子による霧の彫刻、「鉄鋼館」ではヤニス・クセナキス(Iannis Xenakis)の『Hibiki Hana Ma(響き・花・間)』と、フランソワ・バシェ(François Baschet)の音響彫刻が展示されていた。
これらの体験は、後の坂本の創作活動に深い影響を与えることになり、当時注目を集め始めていたシンセサイザー電子音楽も、坂本にとって大きな刺激となった。坂本は2016年以降、大阪万博で展示されたバシェの音響彫刻を演奏・録音する機会を得て、その音を自身の作品に取り入れている。それらの試みは2017年のアルバム『async』で実を結び、最晩年に制作した劇場作品『TIME』にも生かされた。
音響彫刻やサウンドインスタレーション、「坂本図書」が会場に登場
本展では、大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻を展示するほか、東京藝術大学の「バシェ音響彫刻修復プロジェクトチーム」 が坂本のために制作した新たな音響彫刻も紹介。また、坂本の演奏データを元に、彼が愛用したグランドピアノで再生するプログラムも展開する。
高谷史郎とのインスタレーションの代表作『LIFE - fluid, invisible, inaudible...』、アルバム『async』をZakkubalanやアピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong Weerasethakul)らとともにインスタレーションとして展開した『async-volume』といった、サウンドインスタレーションも展示する。
さらに、2017年から坂本自身が動き始めた図書空間「坂本図書」の分室も登場。坂本の読書空間が再現されるほか、坂本図書で所蔵している書籍と同タイトルの古書、オリジナルグッズの販売も予定している。
なお、本展のチケットは事前オンライン予約制。日時指定に空きがある場合、当日窓口でもチケットを販売する予定だ。人気が予想されるので、前もっての計画をお勧めしたい。
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