1. 百年後芸術祭 内房総アートフェス
    Photo: Tomomi Nakamura
  2. 第8回横浜トリエンナーレ
    Photo: Keisuke Tanigawa 第8回横浜トリエンナーレ
  3. 元気炉
    Photo: Rai Shizuno栗林隆 《元気炉》2022年 (《蚊帳の外》ドクメンタ15、ドイツ・カッセル)より

ゴールデンウィークに行くべき芸術祭5選

横浜、京都、千葉など、日本各地のアートフェスを紹介

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Time Out Tokyo Editors
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大型連休は、旅の目的をアートフェスティバルにするのはどうだろうか。日本各地で、ゴールデンウィーク期間中に参加できるイベントを紹介する。

3年に1度の大型芸術祭「横浜トリエンナーレ」や、唯一無二の写真芸術祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」などが2024年も開催。気になるものは早めにチケットを購入して、足を運ぼう。

また、タイムアウト東京では「ゴールデンウイークでしかできないこと2024」と題して、アート、音楽、野外シネマ、グルメ、花絶景、注目のニューオープンなどをまとめている。ぜひ併せてチェックしてほしい。

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  • アート
  • みなとみらい

3年に1度開催されるアートの祭典「第8回横浜トリエンナーレ」が、横浜で開幕。横浜の街らしい「国際性」を一つの特徴としてきたが、今回は北京を拠点に国際的に活動するアーティストでキュレーターのリウ・ディン(劉鼎)とキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)の2人をアーティスティックディレクターとして迎え、その強みを存分に打ち出す。

中国近代文学の祖、魯迅(ろじん)の著作に着想を得た「野草:いま、ここで生きてる」という一見不思議なテーマを掲げた今回の展示は、グローバリゼーションの暴力性やナショナリズムの台頭など、さまざまな問題に直面する現代社会に丁寧に向き合った、非常に見ごたえのある内容となっている。

同展には、日本初出展者を含む多様な国と地域を持つ全93組のアーティストが参加。そのうち日本初出展は31組、新作を発表する作家は20組だ。

メインとなる国際展「野草:いま、ここで生きてる」が、リニューアルを経た「横浜美術館」や、2020年まで「YCC ヨコハマ創造都市センター」が入居していた「旧第一銀行横浜支店」、「BankART KAIKO」などで開催されるほか、地域連携のプログラム群「アートもりもり!」も、横浜駅から山手地区におよぶ広いエリアで展開される。

  • アート

写真イメージを巡るさまざまな作品を展示する、国内でも唯一無二の写真芸術祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が今年も開催。京都市内の各所で一連の写真展が開かれ、第一線で活躍する国内外の写真家による新作や撮り下ろしが多数展示される。

2024年は「SOURCE」をテーマに、生命や世界の源を探求するような展覧会を実施する。

ケニア生まれでイギリス育ちのジェームズ・モリソン(James Mollison)は、世界中の子どもたちの寝室を撮影するプロジェクト「Where Children Sleep(子どもたちが眠る場所)」で、現代社会が抱える問題を提起。インド出身のジャイシング・ナゲシュワラン(Jaisingh Nageswaran)の作品には、社会から疎外された人々の生活、闘争と忍耐が描かれている。

日本からは川田喜久治、潮田登久子、川内倫子など参加する。

会場は、建仁寺や新聞社ビルの地下室をはじめ、文化的価値の高い名所が名を連ねており、写真とともに京都の趣深い建造物が楽しめるのも大きな魅力だ。全会場をゆっくりと回りたい人には、パスポートの購入を勧めたい。

※開催時間は、各展示とイベントにより異なる

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  • アート
  • 千葉

千葉県誕生150周年記念事業の一環で実施される、千葉県ならではの新たな芸術祭「百年後芸術祭-内房総アートフェス-」。千葉県市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市が連携して開催する大規模なイベントだ。

アートを主とする「LIFE ART」と、音楽を主とする「LIVE ART」を両軸に、49日間さまざまな展示やパフォーマンスが行われる。

「LIFE ART」では、国内外から招聘(しょうへい)した現代アーティストたちの作品を、内房総5市の各所で展示。魔術と救済、人間と非人間など両義的な中間領域を探求する小谷元彦が手がけた「V(仮設のモニュメント5)」や、SIDE COREによる高度経済成長期から「東京湾アクアライン」が開通するまでの木更津を象徴したような「dream house」をはじめ、見逃せない作品が揃う。

「LIVE ART」では、芸術祭の総合プロデューサーである小林武史が4会場でそれぞれ異なるスペシャルライブを開催。それぞれにコンサートタイトルが付き、通常の音楽ライブでは観られない異次元のアート的表現を展開する。出演アーティストは、櫻井和寿、スガシカオ、宮本浩次、荻野目洋子など。小林も全ステージでパフォーマンスを披露する。

日程などの詳細は公式ウェブサイトで確認してほしい。 

青森県内にある「青森県立美術館」「青森公立大学 国際芸術センター青森」「弘前れんが倉庫美術館」「八戸市美術館」「十和田市現代美術館」を会場とした「AOMORI GOKANアートフェス」が初開催。9月1日(土)まで楽しめる。

「つらなりのはらっぱ」という共通テーマで各会場が企画する「メイン企画」。青森県立美術館では、同施設の設計者である青木淳が提唱した「原っぱ」論を援用し、展示室のみならず、館内外の至るところでアートを発見・鑑賞・体験できる場を設けることで、美術館全体に大きな「つらなり」を生み出す。そのほかのヴェニューも、個性的な展示を行うため注目したい。

また、本アートフェスの共通企画として、現代美術家の栗林隆による、原子炉の形状をした構造物に薬草の香りを帯びた蒸気を発生させて、観客が中に入って体験することが可能な体験型インスタレーション作品「元気炉」が、5館を巡回することが決定。スケジュールや詳細は、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

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伊豆諸島に位置する神津島を舞台にしたアートイベント。ミュージシャンの嶺川貴子、U-zhaan、テニスコーツ、アーティスト集団のオル太、詩人のカニエ・ナハ、ダンサーの上村なおか、ラッパーの環ROYらが身体表現やライブパフォーマンスを展開する。

美しい景観を舞台に島の自然と対峙(たいじ)し、共生することで、独自の鑑賞体験や時間をアーティストと観客で作り上げる。島に滞在しながら「漂流」や「自然の脅威と雄大さ」を意識して、参加者の身体を芸術とともに研ぎ澄ましていく企画に足を運ぼう。

また、4月28日(日)には東中野にある「梅若能楽学院会館」で、出演者たちが集結するオープニングイベントも行われる。

なお同イベントは、ゴールデンウィーク後の5月18日(土)〜26日(日)に開催。日程に注意してほしい。

東京近郊で開催されているアート展

  • アート
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「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」「メトロポリタン美術館」「ヴィクトリア&アルバート博物館」など、世界の名だたるミュージアムに作品が収蔵されているテキスタイルデザイナー・須藤玲子の大規模個展「須藤玲子:NUNOの布づくり」が茨城県水戸市で開催。

須藤率いるテキスタイル・デザインスタジオのNUNOが、40年にわたって生み出してきたユニークな作品を紹介する同展は、2019年に香港のアートセンター「Centre for Heritage, Arts and Textile(​CHAT​)」で企画・開催され、「ジャパン・ハウス ロンドン」やスイスへ巡回したものだ。

テキスタイルプランナーの先駆者だった新井淳一らとともに、1980年代に須藤が立ち上げたテキスタイルブランド「NUNO」は、日本各地の伝統的な染織技術や職人らとの協業にこだわりながら、最先端技術を駆使した素材開発など、常に革新的なテキスタイルづくりに取り組み、国際的な注目を集めてきた。環境問題や、布の再生・再利用にもいち早く目を向けて活動してきたことでも知られている。

本展では、須藤が手がけた代表作のテキスタイルだけではなく、デザインの源泉や制作過程からテキスタイルデザインに注目。デザインの着想源からドローイング、原材料や製作サンプル、職人との試行錯誤、生産の過程まで、普段見ることのできない布づくりの舞台裏を公開する。

また、海外を巡回してきた本展だが、国内では香川県の「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」での展示を経て、須藤の出身地である茨城県内で満を持しての開催が実現。会場となる「水戸芸術館現代美術センター」は、本展を企画したCHAT館長兼チーフキュレーターの高橋瑞木が、2003~16年に主任学芸員として勤務していたところでもある。NUNOと須藤によるテキスタイルが、磯崎建築を舞台にどんな展示空間を作り上げるのか。会期は2024年2月17日(土)~5月6日(月・祝)、開幕を楽しみに待ちたい。

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沖縄本島北部にある本部港からフェリーで西へ30分ほどのところにある伊江島は、米軍による土地の強制接収が進み、一時期は島全体の3分の2以上もの面積が基地となっていた。太平洋戦争末期に最も苛烈な激戦地となった一つだ。数多くの旧日本軍兵だけでなく、疎開せず島にとどまった島民の約半数が命を落としたといわれている。終戦後も島民の苦難は続き、土地の強制接収に始まり、弾薬の爆発事故や、演習中の墜落事故などがしばしば起こっている。

この度、埼玉県東松山市にある「原爆の図 丸木美術館」で、写真展「阿波根昌鴻 写真と抵抗、そして島の人々」が開催される。今なお島面積の35%以上を米軍用地が占める伊江島で、101歳で死去するまで反基地運動、平和運動を率いてきた阿波根昌鴻(あはごん・しょうこう)が遺した写真の数々を紹介する展覧会だ。

「沖縄のガンジー」と呼ばれ、非暴力の抵抗を志した阿波根は、米軍の横暴や射爆演習場による被害を記録するためにカメラを入手し、1955年から記録を開始した。その量は膨大なもので、生前に唯一の写真集として発表された「人間の住んでいる島」(1982年)に掲載されたもの以外にも、島の人々の肖像や日常を写した写真が数多く残っていることが分かり、調査が進められた。

本土での初めての展覧会となる本展では、3000枚以上のネガから選ばれた未公開を含む約350点のデジタルプリントを展示する。関連企画として、小原らの登壇するトークイベントも予定されている。

入館料は一般900円、18歳未満600円、小学生400円で、会期は2024年2月23日(金・祝)~5月6日(月・振休)。阿波根による歴史的かつ文化的に重要な作品が、新たな形で保存され、広く公開されることを喜びたい。

もっとアートに触れるなら......

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刺激的なアート作品と各地の風土を同時に楽しめる芸術祭は、国内旅の一つのスタイルとして定着しつつある。新型コロナウイルスのパンデミックもあり、開催サイクルが乱されてしまった芸術祭も少なくなかったが、いずれも少しずつペースを取り戻してきているようだ。

ここでは、メイン会場の「横浜美術館」のリニューアル開館も楽しみな「横浜トリエンナーレ」をはじめ、いわゆる「里山型芸術祭」の代表例「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」など、現時点で開催が発表されている芸術祭を紹介する。能登半島地震による津波の影響が危ぶまれた「さどの島銀河芸術祭」も夏開催予定とのことなので、続報を待ちたい。

  • アート

東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。4月から5月にかけては、3年1度の都市型芸術祭「横浜トリエンナーレ」、国立西洋美術館初の現代美術展、話題を集めた「大吉原展」など注目の展示が目白押し。ぜひチェックしてほしい。

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  • Things to do

横浜市が文化芸術の持つ創造性を生かしたまちづくり「クリエイティブシティ・ヨコハマ」を始めて、2024年で20年。今年は3年に1度の現代アートの国際展「第8回横浜トリエンナーレ」や国内外のギャラリーが集まる世界水準の国際アートフェア「Tokyo Gendai」が開催される。

これに併せて、横浜に集まったアーティストやクリエーターが企画する多様なプログラムが街中に広がる。ここでは、そんなアートで盛り上がる横浜の注目スポットやアートイベントを紹介しよう。

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  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

草間彌生のインスタレーションが2つある農場、ロンドンの「テート・モダン」にあるようなマーク・ロスコ専用の部屋がある美術館など、自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

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