The Swiss Pavilion at Expo 2025
Photo: Supplied | The Swiss Pavilion at Expo 2025 stands out with its striking spheres
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大阪・関西万博のスイスパビリオンで体験できること

スイス館コミッショナーのマヌエル・サルクリと巡る球体尽くしの未来体験

Ili Saarinen
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ついに開幕した「2025年日本国際博覧会」(以下、大阪・関西万博)。夢洲に建てられた万博会場では、各国・テーマごとのパビリオンが多彩な展示や体験を用意している。

タイムアウト東京は、大阪・関西万博の魅力を紹介するべく、会場で体験できることを調査してきた。同記事では、泡のように膨らむ未来への希望と、最先端の技術、壮大な体験ができるスイス館を取り上げる。

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Inside the Swiss Pavilion at Expo 2025
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印象的な「球体」

大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、建築家の藤本壮介が設計した木製の「大屋根リング」から個々のパビリオンに至るまで、建設される全ての建物の環境負荷が厳しくチェックされている。

スイス館も例外ではない。互いにつながり合う4つの球体が近未来的な建物は、万博で最も環境配慮されたパビリオンの一つだ。

「持続可能性とリサイクル可能な素材の使用は、最初からスイス代表団にとって重要な関心事でした」と語るのは、過去8回の万博に携わってきたスイス館コミッショナーのマヌエル・サルクリ(Manuel Salchli)。「6カ月間のためだけに建てられる建物で持続可能性を語るのは、少し矛盾していますよね」と率直に述べた上で、「私たちは、解体して再利用できる建物を目指しました」と話す。

この目標は、マヌエル・ヘルツ(Manuel Herz)建築事務所が率いるチームによって実現された。同事務所が手がける設計は、視覚的な魅力と驚きに加え、万博終了後にも別の場所で再構築できる可能性を備えている。

日本国内の別の場所でのパビリオン再建に、すでに関心を示す関係者との話し合いも進んでいるという。「また、球体の膜素材を家具などにリサイクルする案も出ているんですよ」と補足した。

建物以外にも、スイス館は環境負荷軽減のためのさまざまな取り組みを実施している。例えば、パビリオン周辺に木や低木を植えることで、彼らの活動が及ぼす二酸化炭素の影響を最小限に抑えている。

さらに、「スイスでデザインし、日本で生産した家具や、スイスの家具メーカー『Vitra』のリサイクル素材で作られた家具を使用しています」と説明した。

Inside the Swiss Pavilion at Expo 2025
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未来への願いと最先端テクノロジー

スイスパビリオンでの展示内容にも注目しよう。スイス館では、訪問者の好奇心を刺激しつつも、過剰過ぎない体験が提供されている。

「来場者が一つのパビリオンに滞在するのは、せいぜい15分程度でしょう。その短時間でも没入感があり、感情を揺さぶられるような展示を目指しました」とサルクリは語る。

展示は、来場者が4つの球体を巡る構成となっており、それぞれの展示室が異なる視点を提示している。第1の空間では、直接民主制や教育制度など、イノベーション国家としてのスイスの価値観が紹介される。

第2の空間は、展示の中でも最も主情的なエリアだ。サルクリはエリアの内容について、「来場者の『願い』を象徴した巨大なシャボン玉が池から浮かび上がるインスタレーションが設置されています。来場者は小さなマイクに向かって願いをささやき、自分だけのシャボン玉が作れます。毎日、人気の願いトップ10も表示されるので、ほかの人と自分の願いを比べることもできるんです」と教えてくれた。

さらに、技術的な内容へと進んでいくのが第3の空間。なお、同エリアのテーマは、6ヵ月の間に2回変更される予定だという。

最初の2ヵ月は『人間拡張(Augmented Human)』をテーマに、ロボット工学やAIによる未来社会のビジョンを紹介。その後は『地球(Planet)』、そして『生命(Life)』へと移行し、高齢化社会や医療分野に焦点を当てる。

「アート、科学、外交の交差点として、未来の架空シナリオが構築できるインスタレーションを設けます。これは、科学的進歩の動向を5年、10年、25年先まで予測する『GESDAサイエンスブレークスルーレーダー』のデータを活用します」とサルクリは来場者自身の「未来」が体感できるインタラクティブな展示について語る。

生成された未来像は天井に投影され、さまざまな未来の可能性がパッチワークのように広がるという。

展示の締めくくりは、ヨハンナ・シュピリ(Johanna Spyri)の名作児童文学『アルプスの少女ハイジ』にまつわる展示が登場し、軽やかで心温まる内容になっている。

1974年には宮崎駿や高畑勲らによってアニメ化され、日本でも大ヒットとなったハイジ。「ハイジの物語が持つ価値観や魅力は、100年以上たった今も通用しますよ。サステナブルな木製のおもちゃなど、お土産として持ち帰れるものも用意しています。また、スイス料理を日本風にアレンジした『ハイジカフェ』も併設されているんです」とサルクリは語る。

Manuel Salchli
Photo: SuppliedManuel Salchli

万博成功の見通しは

30年以上にわたり世界各地の万博に参加してきたサルクリは、「万博に行く意味とは何か?」という問いに対する最適な人物だ。「国際的な雰囲気を体感できること、それだけでも大きな魅力です。万博は、世界中の人々がつながるユニークな機会なのです。グローバルな人材が交流することで、政治・経済、そして個人レベルにおいても、より良い意思決定ができるようになると信じています。」

コロナ禍で、理想通りの開催がかなわなかった「東京2020オリンピック」に代わる国際舞台としての期待もある。「本来なら東京五輪が世界的な祝祭となるはずでしたが、そうはなりませんでした。今回の万博は、そんな中で日本が再び世界と交わる絶好の機会です。大阪には人々を迎える素晴らしいポテンシャルと雰囲気に溢れていますよね」とサルクリは語った。

「最も行きたい旅行先」として、日本が世界中から注目されているタイミングでもある今。「これはほかの万博ではなかった現象ですが、ほぼ毎日スイスから、『日本で開催されている万博を訪れたい』というメールが届くんです。スイスでは、今や誰もが日本の食文化や伝統を体験したがっています。万博の成功の見通しは、とても明るいですよ」

ぜひ実際にスイスパビリオンを訪れて、スイスの魅力を体感してみては。

もっと大阪・関西万博について知りたいなら……

  • Things to do

2025年4月13日から大阪湾の沖合に浮かぶ人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催中の「2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)」。さまざまな参加国の文化に触れられる万博だが、日本各地の文化を体験してみることも提案したい。

開催期間中には、連日数多くのイベントが実施される。本記事では、東北から沖縄、はたまた地元・大阪の祭りまで、地域色の強いイベントを紹介する。予約や抽選の必要なイベントもあるので、公式ウェブサイトを確認してから訪れてみてほしい。

  • Things to do

2025年は大阪の年になりそうだ。待望の万博が55年ぶりに大阪に帰ってくる。革新的な最新技術、世界中の斬新なアイデア、そして希望あふれる未来に向けた持続可能なソリューションがぎっしりと詰まった博覧会が始まるのだ。

大阪湾の沖合に浮かぶ人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催される2025年日本国際博覧会」(以下、大阪・関西万博)では、次世代航空モビリティから、内省的な思考を促す静けさの森まで、さまざまな出合いが待っている。会場内の至る所に数十の国や企業のパビリオンがあり、来場者を歓迎する。大阪・関西万博への旅は、一日がかりのものになることを覚悟しよう。

大阪・関西万博は、2025年4月13日(日)から10月13日(月)まで開催される。その包括的なテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。一人一人が、それぞれの可能性を最大限に発揮しながら自らの望む生き方を考えるきっかけとなることを指針としている。

しかし、大それたアイデアや未来的なテクノロジーが提示されるだけではなく、実際に体験できる楽しみもたくさんある。ここでは、タイムアウト東京英語版編集部がこの記念すべき大阪・関西万博で注目したい10の展示やイベント、パフォーマンスを紹介する。

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  • Things to do

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2025年4月13日(日)に開幕する「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」。 大阪・関西万博の最大の見どころは、世界各国のパビリオンが一堂に集まる点だろう。

158の国と地域が参加し、それぞれの文化や特徴を象徴するユニークな建築が立ち並ぶ景色は、万博ならでは。各パビリオン内では、各国の魅力を表現した展示が行われる。

せっかく訪れるのであれば、全てのパビリオンを巡りたいところだが、会場は広く、1日では回りきれないほどの規模がある。

そこで、タイムアウト東京のライターが実際に現地を訪れて厳選したおすすめの海外パビリオンを5つ紹介しよう。

  • Things to do

「万国博覧会」は、各国の最新技術だけでなく、食を通じて豊かな未来や異文化への理解を深めるきっかけにもなる重要なイベントだ。

いまや日本で当たり前に親しまれている缶コーヒーや冷凍食品、「ブルガリアヨーグルト」「ケンタッキーフライドチキン」などは、実は1970年に開催された「日本万国博覧会(大阪万博)」で初めて紹介され、現在の食文化に大きな影響を与えたものである。

現在開催中の「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」でも、日本ではあまり知られていない料理や、今後定番になるかもしれないメニューが数多く登場している。会場で提供される料理が、未来の日本の食文化に新たな変革もたらすかもしれない。

本記事では、タイムアウト東京のライターが厳選した、海外パビリオンで味わえるおすすめグルメを紹介する。ぜひ、食を通して世界の文化に触れ、新たな発見を楽しんでほしい。

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  • Things to do

海外パビリオンの中でも一際目を引く、波打つような外壁が印象的なオランダパビリオン。その中心に浮かぶ大きな球体は「man made sun-次世代への太陽」と名付けられ、再生可能エネルギーへの変換という「新時代の幕開け」を象徴している。

館内では、水資源や再生可能エネルギーの活用をテーマとした没入型展示のほか、イベントスペース、カフェ、ショップなども併設。訪れる人々が、さまざまな角度からオランダの文化や思想を体感できるよう随所に工夫が凝らされている。

ここでは、オランダパビリオンをより楽しむためのヒントを紹介しよう。

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