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都市住宅の新たな可能性を示した名作、安藤建築として初

大阪市住吉区の住宅街に建つ『住吉の長屋(東邸)』(1976年)は、建築家・安藤忠雄の初期代表作として知られる。3軒続きの木造長屋の中央部分を取り壊し、打ち放しコンクリートによる住宅として再構築されたものだ。
7月17日、文化審議会は同邸を含む28都府県の建造物163件について、登録有形文化財(建造物)とするよう文部科学大臣に答申した。正式登録されれば、安藤が手がけた建築としては初の登録となる。
同建物は、間口約2間、奥行き約8間の細長い敷地に建つ鉄筋コンクリート造2階建てで、建築面積は33.7平方メートル。中央には屋根のない中庭を設け、階段や渡り廊下を配置することで、屋内と屋外が連続する独自の住空間を生み出している。
居室間を行き来する際には一度屋外に出る必要がある一方、中庭を通して光や風、雨といった自然を室内へ取り込む設計となっている。道路側には窓をほとんど設けず、閉鎖的な外観と内部の開放性を両立させた。文化庁は、外観の閉鎖性と内部空間の開放性を巧みに組み合わせた点を評価し、「都市住宅像の新境地を切り拓いた名作」と位置付けている。
今回の答申では、東京都港区の老舗書店「山陽堂書店」の店舗も対象となった。1891年創業の同店は、鉄筋コンクリート造の地上3階・地下1階建て。現在の建物は1963年に現在の姿へと改修されたもので、外壁を飾る谷内六郎の原画をもとにした巨大なモザイクタイルが特徴だ。
このほか、ヴォーリズ建築事務所が手がけた「日本聖公会中部教区高田降臨教会教会堂及びもみじ幼稚園園舎」(新潟県上越市)や、日本初の植物生態学講座の開設に伴って設置された「東北大学植物園八甲田山分園実験棟」(青森県青森市)なども対象に含まれている。
登録有形文化財は、建造物の価値を守りながら活用していくことを目的とした制度。外観や構造を大きく変更する改修には届け出が必要となるが、保存修理に関する支援や税制上の優遇措置を受けられる場合もある。
安藤の建築思想を象徴する初期住宅作品は、今回の答申を通じて、歴史的価値や文化的意義が改めて評価されることとなった。
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