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田部光子《作品》1962年 福岡市美術館蔵 | 「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」
田部光子《作品》1962年 福岡市美術館蔵

大阪、3月に行くべきアート展5選

中西夏之、竹久夢二、古代エジプト展など

Chikaru Yoshioka
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大阪を中心に、2026年3月は美術館のコレクションや作家の実践に焦点を当てた多彩な展覧会が開催される。「国立国際美術館」では中西夏之の初となる回顧展を通して、彼の半世紀以上にわたる制作の軌跡をたどり、「あべのハルカス美術館」ではブルックリン博物館所蔵の古代エジプトの名品が大集合。さらに、「京都国立近代美術館」では、近代日本美術史における巨匠として知られる竹久夢二に迫る展示も行う。

本記事では、今月に関西で見ておきたい主要な企画をピックアップした。

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  • アート

「あべのハルカス美術館」で、「ブルックリン博物館」が誇る古代エジプトコレクションからえりすぐりの名品が集結する「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が開催。人間のミイラ2体をはじめ、動物のミイラ、彫刻、ひつぎ、宝飾品、土器、パピルスなど約150点の遺物を通して、高度な文明を築いた人々の営みに迫る。

謎に満ちた歴史を旅する案内人は、気鋭のエジプト考古学者・河江肖剰。人々はどのように暮らし、何を食べ、何を畏れていたのか。どのような言語を話し、何を書き残したのか。ピラミッドはなぜ、どのように築かれたのか。ミイラに託されたメッセージとは何か――。これまで見過ごされがちだった視点から、最新技術によるピラミッド研究の成果まで、映像や音声を交えて紹介する。

会場では古代エジプト語の呪文を音声で再現し、来場者を3000年の時空へと誘う。知への探求心を呼び覚ます空間へ、今こそ飛び込もう。

  • アート

「国立国際美術館」で、現代日本を代表する画家の中西夏之(1935〜2016年)による初の回顧展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」が開催。半世紀以上にわたる制作の軌跡をたどり、その特異な絵画理念と実践に迫る試みだ。

中西は、絵画という営みを根底から問い直してきた。絵画はいかにして立ち現れるのか、その存在する場所はどこにあるのか。こうした問いに貫かれた作品は、具象や抽象といった既存の枠組みに収まらない。自明とされてきた前提を括弧に入れ、新たに「絵画」を立ち上げ直すことこそが、彼の狙いだったといえる。

画家を志しながらも、1960年代前半には前衛美術家集団「ハイレッド・センター」で活動し、絵画から離れた中西。その後、舞踏家・土方巽との出会いを契機に本格的に絵画へ回帰する。

こうして生まれた作品は、絵画という営みそのものを考えさせるものとなった。「反芸術」の下で評価されてきた離脱期に対し、1960年代後半以降の絵画実践はまだ十分に理解されていない。本展では、彼がなぜ絵画に向かったのか、そして絵画をどのように捉えていたのかを問い直す。

かつて中西は、絵画を「緩やかに見つめるためにいつまでもたたずむ装置」と語った。オレンジや黄緑、紫を多用し、長い筆で遠くから描かれた彼の絵画もまた、その装置の一つだろう。この言葉を手がかりに、中西の絵画の在り方を改めて考えていく。彼の絵画が開く世界を、静かに感じ取ってほしい。

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  • アート

「京都国立近代美術館」で、近代日本美術史における巨匠として知られる竹久夢二の展覧会「モダン都市生活と竹久夢二―川西英コレクション」が開催される。

夢二は、大正・昭和期の少年少女や美術愛好家、そして若き芸術家たちにとって、「巨匠」というよりも、より身近な存在であるイラストレーターやデザイナーでもあった。生前に販売された絵はがきや封筒、千代紙、風呂敷といった多彩なグッズの数々は、その親しみやすさを今に伝えている。

創作版画家の川西英もまた、夢二の絵と詩に魅了された一人。彼が収集した膨大な版画コレクションの3分の1以上を、夢二の版画・書籍・関連グッズが占めている。

本展では、大正期のモダンな大衆文化を象徴するスターとして幅広い人々に親しまれた夢二の作品を展示。さらに、夢二に憧れた川西や恩地孝四郎をはじめとする昭和期の画家・版画家たちによる作品も並び、都市生活やモダンな景観、前衛性と遊び心あふれる表現の世界を堪能できる。

  • アート

「兵庫県立美術館」で、195060年代の日本の女性美術家による創作活動を見直す「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が開催。2025年秋に愛知・東京を巡回した話題の展覧会が、安藤忠雄建築の空間を舞台に展開する。独自の抽象表現を切り開いた14人の作品約120点を通して、日本の戦後美術史に新たな視座を提示する展覧会だ。

戦後間もなく前衛美術の領域で注目を集めた女性美術家たちの自由な実践は、十分に評価されてきたとは言い難い。当初は抽象芸術運動「アンフォルメル」がその活動を後押ししたが、やがて「アクション・ペインティング」が台頭し、男性性と結びついた「アクション」が評価の中心となった。本展では、中嶋泉が著した『アンチ・アクション』のジェンダー研究の視点から、こうした枠組みに収まらない多様な制作行為を「アンチ・アクション」として捉え直す。

草間彌生や田中敦子の圧巻の大作に加え、赤穴桂子、多田美波、宮脇愛子らの初期作品や未発表作も紹介。さらに、「具体美術協会」の白髪富士子、山崎つる子、そして明石市出身で「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の日本館に女性で初めて選出された江見絹子の作品も並ぶ。

展示は、身体・素材・空間といったキーワードで作品を緩やかに結ぶ構成。絵の具をスタンプのように押したものや、アイロンで焼け跡を重ねた作品、アスファルトや竹、ピンポン玉を用いた立体など、素材と手法の実験が際立つ。半世紀を経てもなお新鮮な、彼女たちの挑戦に注目してほしい。

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  • アート

「大阪中之島美術館」で、洋画家の髙島野十郎(18901975年)による過去最大規模となる回顧展「没後50 髙島野十郎展」が開催。代表作『蝋燭』『月』をはじめ、初公開作品を含む160点超が一堂に集う。

卓越した技量と緊張感に満ちた独自の写実表現で知られる髙島。本展では、「孤高の画家」と称されてきたそのイメージを手がかりに、彼の芸術がいかに形成されていったのかを丁寧にたどる。

併せて、作品における仏教的思想や、青年期から滞欧期にかけての初期の画業にも目を向け、これまで十分に紹介されてこなかった側面にも光を当てる。さらに、芸術観の背景や同時代の動向を探ることで、美術史の中にその画業を改めて位置づけていく。

「孤高」という言葉の奥にある、その素朴な人間像に触れる機会となるだろう。

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