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パブリックキャット 第19回

喫茶店の看板猫:次郎長(4才5ヶ月)、石松(9ヶ月) 新宿にて

テキスト、写真:Kisa Toyoshima

新宿5丁目交差点のすぐそばにあるレトロな喫茶店、カフェ アルル。同店にはかつて、ゴエモンという看板猫がいた。2013年にタイムアウト東京がアルルを取材した際、彼はすでに17才。高齢を感じさせない現役の貫禄で、新宿の人々に愛される立派な看板猫だった。しかし、2015年6月20日、19才でゴエモンは逝去。猫としては大往生だろう。オーナーに看取られ、新宿で皆に愛された猫としてふさわしい最期であったという。

白ブチの艶やかな毛並が見事な看板猫、ゴエモン。17才の写真

ゴエモンが亡くなってから1ヶ月の間、生前のゴエモンを写したビデオを店内で流し喪に服していたが、あまりの寂しさに店主も常連客も堪え難くなりつつあった。そんな時に常連客から、「友人に猫の里親探しのボランティアをしている女性がいて、彼女がゴエモンそっくりの猫を飼っており、アルルなら可愛がってもらえると思うのでぜひ譲りたい」という申し出があったという。そうしてアルルにやってきたのが、次郎長と石松だ。

次郎長(右)と石松(左)

当初、ゴエモンそっくりの次郎長のみを譲り受けるつもりだったが、元飼い主の女性に「2匹はとても仲が良いのでどうしても一緒にもらってほしい」と頼まれて石松もアルルにやってきた。2匹の名前の由来は、幕末の侠客、清水次郎長と、その屈強な子分とされる「清水二十八人衆」の1人、森の石松である。

オーナーと次郎長。2人はすでに相棒になりつつあるようだ

次郎長は4才5ヶ月ほどのオス猫。たしかにゴエモンに似た風貌だが、ゴエモンより少々長めのファニーな前髪と鋭すぎる眼光が、侠客の名に恥じぬ男っぷりの良さを表している。店内を悠々と歩く姿やソファにまたがる姿は亡きゴエモンに似た接客スタイルだが、特に長めの前足から繰り出される独特のモデルウォークに注目してみてほしい。

前髪と蝶ネクタイが似合う次郎長

鋭すぎる眼光。さすが、侠客の親分

清水次郎長の子分、森の石松は手のつけられない暴れん坊というキャラクターであったが、アルルにやってきた猫の石松も今のところは乱暴者だ。まだ生まれて9ヶ月という若輩者ゆえの「ミルク泥棒」という傍若無人な接客方法が、意外にも人気を博しているという。

何かに驚く石松。客のミルクを泥棒しては店員やオーナーに叱られているが、本人に悪気はまったくない

客の膝に座り、「顎乗せスタイル」で周りを油断させミルクを狙う。女性客のファンが多く、すでに手練れの新宿ホストボーイになりつつある

確かにミルク泥棒されても許してしまいそうだ

2匹は兄弟ではないが、とても強い絆で結ばれているようだ。次郎長は、顔に似合わずとても愛情深い親分で、食事の際には必ず食べ盛りの石松を先に食べさせてから自分は後で食べる。そして、時折石松を毛繕いしてやる姿も見られる。石松が手術のため店を留守にしたときには、次郎長は落ち込んで店の中をずっと探しまわっていたらしい。驚くべき任侠猫。人間顔負けである。きっとこれからも2匹で力を合わせてアルルを盛り上げてくれるだろう。

名前:次郎長(♂)4才5ヶ月、石松(♂)9ヶ月

看板猫になる経緯:常連客の友人より譲られて以来、アルルにて勤務

1日のスケジュール
次郎長:11時30分〜22時00分
石松:15時00分〜22時00分(ミルク泥棒につき午後出勤)

勤務先

カフェ アルル

新宿五丁目東交差点そば、パークシティイセタン1の裏手にある喫茶店。1978年創業の歴史を物語るレトロなソファやアンティーク家具が並び、靖国通りの喧騒から一転、新宿でゆっくりとコーヒーを味わうことができる知る人ぞ知る穴場だ。

詳細情報
新宿三丁目

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