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東京の映画情報、映画館ガイド

インタビュー:塚本晋也
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インタビュー:塚本晋也

マーティン・スコセッシ監督の新作『沈黙-サイレンス-』が完成した。遠藤周作のキリスト教文学を原作とする同作品は、江戸時代初期に日本を訪れたポルトガル人宣教師たちの視点から、キリスト教弾圧の内面を、文化の衝突や信仰のあり方の違いを交えて描かれた作品だ。本作で、敬虔なカトリック信徒のモキチ役を演じた、映画『鉄男 TETSUO』や、『東京フィスト』、『野火』などの監督としても知られる塚本晋也に本作への思いを聞いた。

2017年に公開が待ちきれない映画20
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2017年に公開が待ちきれない映画20

タイムアウトロンドンにて、2017年に公開される映画50本が紹介された。タイムアウト東京ではそのなかから注目の作品を、邦画も加えて20本紹介する。今年も、SF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編や、マーティン・スコセッシが20年以上の構想を経て完成させた『沈黙』、オリジナルキャストが再集結する『トレインスポッティング2』など見逃せない作品が揃う。リストをチェックしながら公開を待とう。  

エヴォリューション
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エヴォリューション

ルシール・アザリロヴィック監督が描いた、忘れがたいほど奇異な物語の舞台となったのは、フランス沖のどこかにある人里離れた島だ。その島では、白い眉と黒い瞳を持った女性たちが少年たちを育てており、父親たちは何処にも見当たらない。昼には少年たちが珊瑚礁の広がる海へ泳ぎに行き、夜になると母親が彼らにドロドロに凝固したイカ墨のような液体を食べさせ、痩せ細った腕に薬と称する催眠作用のある粘液を注射する。ある夜、好奇心旺盛な少年ニコラ(マックス・ブラバン)は、なんとか投薬に耐え、母親(ジュリー=マリー・パルマンティエ)と暮らす質素な家から抜け出す。そして、彼が母親を追って海岸に出たところから、すべては奇妙な方向に進み始めるのだ。 少女たちの世界を描いた、映画『エコール』を発表してから10年たったが、ルシール・アザリロヴィック監督は、まるでその間ずっと悪夢を溜め込んでいたかのように思える。長時間にわたる言葉のない静寂、恐怖をともなう緊迫、抽象的な映像美が描かれる本作には、ニコラが夜に抱く好奇心と、我々に根付いた原始的な不安をもって、その暗く神秘的な世界を見つめていた。物語の大筋が理解しやすく描かれながらも、美しい海の映像とデヴィッド・クローネンバーグ的なボディホラーが渦巻くなかで、そのドラマチックな質問に対する答えは海底に沈んでいく。 もし本作のテーマに一貫性があるとすれば、ルシール・アザリロヴィック監督が自律性を持つ男性の身体を裸にする傾向だろう。女性のキャラクターは、いわゆる意図を隠し持つ妖婦であり、夫や息子が感じる一般的な不安から生まれている。出産の不安というものを本来は無視する余裕があるべき性別に強制させることで、最もおぞましい場面が描かれていた。本作で遠回しに描かれるのは、想像と現実の境界が曖昧で、自分が理解できないものはすべて素晴らしいと同時に恐ろしいと感じた幼少時代への回帰だろう。 公式サイトはこちら 2016年11月26日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開 テキスト:DAVID EHRLICH 翻訳:小山瑠美

タイムアウトレビュー
  • 4 5 つ星中
インタビュー:半野喜弘
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インタビュー:半野喜弘

パリを拠点に、映画音楽からエレクトロミュージックまで幅広く世界で活躍し、アジア映画の名匠たちの映画音楽を手がけてきた音楽家、半野喜弘の初監督作品『雨にゆれる女』が2016年11月19日(土)より公開される。本作は、本名を隠し別名を名乗って暮らす男(青木崇高)と、その男のもとに預けられた謎の女(大野いと)が、本当の姿を明かさないまま、次第に惹かれ合っていく姿と、悲しい運命の皮肉をサスペンスタッチで描いた作品だ。音楽家である半野が映画という表現にどのように向き合い、映画『雨にゆれる女』 は産み出されたのだろうか。 ーまず、現在パリに住まれているということで、移住されたきっかけなどを教えてください。 音楽の影響を受けたヨーロッパで音楽をやろうと思ったことがきっかけです。そして、大きな理由としては、当時自分のやっていることが偽物ではないかというコンプレックスがあって、それを確かめたいという気持ちがありました。実際に現地の人々に向けて音楽をやってみて、それが本物なのか偽物なのか確かめたかったんです。 ー音楽活動はいかがですか、アーティストとして活動しやすい環境でしょうか。 僕は、映画音楽以外には、テクノ、ダンスミュージックをやっていて、その一番面白いシーンがあるのはヨーロッパだと思うんですよ。あと、木曜にチリのサンティアゴ、金曜にブエノスアイレス、土曜にサンパウロと移動して、翌週にはメキシコに行って、など海外で公演をすると、呼んでくれた人はもちろん、僕を知っていて呼んでくれるのですが、来たお客さんの9割くらいは僕を知らないことが多くて、それが面白い。日本だと知ってもらっている前提がある。その前提がないのでだめだったらだめ、良かったら良いという反応がダイレクトに伝わってきて、自分のことを確かめられる環境だとは思います。 ー今回の映画はどのようなきっかけで制作することになりましたか。また、青木崇高さんを主演に選ばれた理由を教えてください。 ここ、5、6年ずっと映画を撮りたいと考えていて、ついに作る機会が巡ってきたという感じでしょうか。青木崇高とは、パリで偶然出会って、その10数年後に東京で再会しました。そのときに、俳優になった青木と2人で何かやろうと話していたこともあって。なので、主演は青木にお願いしたいと1番最初に思い浮かびました。 ー印象に残っている撮影でのエピソードはありますか。 すべてがそうなんですが、特に印象的なことが2つありました。 1つは、撮影前に青木と2人だけでリハーサルをしたときです。そのときに、演技ではなく人として、その場にいたときに主役に見えるようにしてほしいと頼みました。何度も何度も繰り返しました。芝居うんぬんという事ではなく、存在そのもの、何もしなくても主演である健次であって欲しかったのです。2人で、飯田健次はどんな男で、どういう風にそこに立っているのだろうと考え、シーンを延々と繰り返しながら健次を作り込んでいきました。 そして2つ目が、撮影中盤くらいに、テーブルを左に回るというシーンを撮っていたときです。青木が「監督すいません、左に回れないんです」って言ったんです。理由を聞くと、「健次は左の方に回らない気がします」って。もうそのときには、僕は青木を健次だと感じていて、スタッフに話してカメラの位置などをすべて変えました。僕が思っている以上に彼が、健次という人になっていたので、本人ができないことを僕たちの都合に合わすこ

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エヴォリューション
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エヴォリューション

ルシール・アザリロヴィック監督が描いた、忘れがたいほど奇異な物語の舞台となったのは、フランス沖のどこかにある人里離れた島だ。その島では、白い眉と黒い瞳を持った女性たちが少年たちを育てており、父親たちはどこにも見当たらない。昼には少年たちが珊瑚礁の広がる海へ泳ぎに行き、夜になると母親が彼らにドロドロに凝固したイカ墨のような液体を食べさせ、痩せ細った腕に薬と称する催眠作用のある粘液を注射する。ある夜、好奇心旺盛な少年ニコラ(マックス・ブラバン)は、なんとか投薬に耐え、母親(ジュリー=マリー・パルマンティエ)と暮らす質素な家から抜け出す。そして、彼が母親を追って海岸に出たところから、すべては奇妙な方向に進み始めるのだ。 少女たちの世界を描いた映画『エコール』を発表してから10年たったが、ルシール・アザリロヴィック監督は、まるでその間ずっと悪夢を溜め込んでいたかのように思える。長時間にわたる言葉のない静寂、恐怖をともなう緊迫、抽象的な映像美が描かれる本作には、ニコラが夜に抱く好奇心と、我々に根付いた原始的な不安をもって、その暗く神秘的な世界を見つめていた。物語の大筋が理解しやすく描かれながらも、美しい海の映像とデヴィッド・クローネンバーグ的なボディホラーが渦巻くなかで、そのドラマチックな質問に対する答えは海底に沈んでいく。 もし本作のテーマに一貫性があるとすれば、ルシール・アザリロヴィック監督が自律性を持つ男性の身体を裸にする傾向だろう。女性のキャラクターは、いわゆる意図を隠し持つ妖婦であり、夫や息子が感じる一般的な不安から生まれている。出産の不安というものを本来は無視する余裕があるべき性別に強制させることで、最もおぞましい場面が描かれていた。本作で遠回しに描かれるのは、想像と現実の境界が曖昧で、自分が理解できないものはすべて素晴らしいと同時に恐ろしいと感じた幼少時代への回帰だろう。 公式サイトはこちら 2016年11月26日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開 テキスト:DAVID EHRLICH 翻訳:小山瑠美

タイムアウトレビュー
  • 4 5 つ星中
ロマンポルノ・リブート・プロジェクト
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ロマンポルノ・リブート・プロジェクト

成人映画レーベル「日活ロマンポルノ」の45周年を記念して、塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲監督らが制作したロマンポルノ作品が公開。「10分に1回絡みのシーンを作る」、「70~80分前後の上映時間」、「全作品が同じ製作費」、「撮影期間が1週間程度」など一定のルールのなかで撮影するというロマンポルノの特質を引き継いだ作品群が順次公開される。 2016年11月26日(土)の『ジムノペディに乱れる』公開に続き、12月17日(土)より『風に濡れた女』、2017年1月14日(土)より『牝猫たち』、1月28日(土)より『アンチポルノ』、2月11日(土)より『ホワイトリリー』が順次公開、それぞれの終了日は未定となっている。

見逃した映画特集2016
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見逃した映画特集2016

2016年に公開された映画を振り返る、恒例の特集上映。メジャー、インディー映画問わずセレクトされた今年のラインナップには、アカデミー賞を賑わせた『スポットライト 世紀のスクープ』、『レヴェナント: 蘇えりし者』や、ギャスパー・ノエ監督作『LOVE【3D】』、デジタル・リマスター版で甦った旧ソ連映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』、「乱歩とセーラームーンに影響を受けた」と語るスペインの新星カルロス・ベルムト監督作『マジカル・ガール』など、総決算となる良作が揃う。

自選シリーズ 現代日本の映画監督5 押井守
映画

自選シリーズ 現代日本の映画監督5 押井守

日本の映画監督が自選した映画を特集するフィルムセンターの恒例企画。今回は、押井守監督を取り上げる。テレビアニメーションの絵コンテ、演出からキャリアをスタートした押井は1983年に『うる星やつら オンリー・ユー』で劇場映画監督デビュー。その後、劇場版『機動警察パトレイバー』2部作や『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』を発表し、ジェームズ・キャメロンやウォシャウスキー姉妹らに多大な影響を与えた。今回の特集は、過去最大規模の20作品を通してその軌跡を振り返るほか、トークイベントも予定されている。

エディターズ・ピック

一度は行きたいミニシアター5選
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一度は行きたいミニシアター5選

映画を観たいときは、作品ありきで近所の上映館を探す。目当ての作品を観終えたら、劇場を後にする。しかし、映画館だって、DJバーやブックカフェのように、なんとなく居座ってみたり、訪れることそのものを目的にしたり、仲間と入り浸る口実に使えてもいいはずだ。  本記事では、東京近郊に点在する個性際立つミニシアター5軒を紹介。いずれも、プログラムから上映スタイル、内装まで、独自の営業方針でメッセージを発し、映画を通した人々の交流空間として、新しい映画鑑賞の形を提示している劇場だ。地元住民でない限り行きつけにするには少々遠方だが、小旅行の目的地と思って訪ねてみれば、素敵な出会いが待っているに違いない。

ベストLGBT映画 50選
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ベストLGBT映画 50選

『The 50 best gay movies: the best in LGBT film-making』と題して、タイムアウトロンドンでLGBT映画のベスト50が紹介された。同ランキングは、LGBT文化のパイオニアであるグザヴィエ・ドラン、キンバリー・ピアース、ブルース・ラ・ブルース、トッド・ヘインズ、ジョン・ウォーターズらが挙げたベスト10をもとに作成された。 1位に選ばれたのは、カウボーイ同士の悲恋を描いた名作名作『ブロークバック・マウンテン』。そのほかにも、2013年にカンヌの最高賞パルムドールを獲得したことでも話題になった『アデル、ブルーは熱い色』、「ドロシーの友達?(彼はゲイ?)」という言葉も生み出したLGBT映画の古典『オズの魔法使』などがランクイン。LGBTとくくらずとも映画として素晴らしい作品が数多く選ばれているので、何を観るか迷った時の参考にしてほしい。

心に残る青春映画 50
映画

心に残る青春映画 50

あの時代を振り返る。さらば青春の光、ランブルフィッシュ、KIDS/キッズ、ドニー・ダーコなど青春を感じる映画を紹介

個性が光る東京映画館
映画館

個性が光る東京映画館

東京の映画館は個性的な映画館づくりに力をいれている。新宿ピカデリーは『プラチナシート』と『プラチナルーム』というサービスを導入。大スクリーンをベストポジションで見られるようバルコニーを設け、中央にプラチナシート、その両サイドにプラチナルームを配置した。プラチナシートは、カッシーナ・イクスシー社が初めてデザインした劇場用オリジナルソファシートで、足を伸ばしながら映画を鑑賞することができるのが特徴。一方のプラチナルームは、2人だけで大型スクリーンを独占しているような気分になれる、プライベートタイプの空間に仕上げてある。このほかにも、東京には個性派の映画館が多い。自分好みの映画館が見つかれば、鑑賞はいっそう楽しくなるだろう。