TOKYO MUSIC BOX #14 Bar Blen blen blen

テキスト:
Kunihiro Miki
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※プレイリストは記事下部
in collaboration with KKBOX 

Bar Blen blen blen

値段:¥¥

音量:

照度:

出会い:★★

ポイント:現行のブラジル音楽&酒

この一杯:ブラジルから持ち帰ったカサーシャ

テキスト:高岡謙太郎

定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフ、常連客がセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。

第14回は、渋谷のブラジリアン&ブラックミュージックバー、Bar Blen blen blen。ブラジルの現地でのトレンドとリンクした音楽と、本場の料理やアルコールを紹介している。

渋谷マークシティ沿いの長い坂を登り切ってすぐにある同店は、2016年の1月で10周年を迎えた。店内を見渡すと、アート・リンゼイやトニーニョ・オルタのサインも。神楽坂のブラジル、アルゼンチンからの輸入CDを扱うレコードショップ、大洋レコードの試聴販売コーナーもある。 

ブラジル音楽といえば、サンバやボサノヴァだが、この店では、現地で今流行しているブラジル音楽を聴くことができる。ヒップホップやドラム&ベースのサンパウロ版など、日本では耳にすることの少ないグルーヴものが中心だ。「日本で知られているブラジル感ではなくて、レゲエっぽいものとかディスコっぽいものもあります。向こうで人気のバンドが日本ではまったく紹介されていない。すごくかっこいいんで俺がかけようかなって。現行のブラジル音楽と言われてもピンとこないでしょ?」と、マルセロD2の曲をプレイ。プロデューサーはビースティ・ボーイズも手掛けるブラジル人、マリオ・カルダート・ジュニア。

「この曲はサンバとヒップホップの融合で、『メイク・サム・ノイズ』みたいなメッセージをポルトガル語で言ったり、ヒップホップIQも高くて、クラブプレイもイケるんです。ブラジルはヒップホップ文化が多くて、グラフィティもあるんですよ」。なるほどドープなヒップホップではなく、ブラジルらしい明るく軽快なヒップホップだ。

おすすめの酒は、ブラジルのカクテル『カイピリーニャ』。蒸留酒であるカシャーサに砂糖とライムを刻んだものを入れて、クラッシュアイスを入れて飲む。様々なカシャーサをロックで飲めるのも、この店ならでは。「それぞれボトルごとに個性があって、向こうの人はストレートでちびちび飲むんですよね。本来はそうやって飲むんです。カシャーサは日本では認識されていないけれど、ラムとかスコッチが好きな人には良い反応なんですよね」。ミナスジェライス州がカシャーサの名産地。現地に行った際に無理して買ってきたという、日本では飲めない銘柄が店に並ぶ。「開高健の『オーパ!』っていう本に『ブラジルの酒はピンガだ。ブラジルの焼酎だ』と書かれていたので、日本のおじさんには「カシャーサ」ではなく「ピンガ」という名で認識されているかもしれないですが、現地ではそれはもう古いかも」。

フードメニューについては、「飲み散らかす食い散らかすみたいなスタイルで、揚げ物や肉が多いですね。『フェイジョアーダ』っていう豆と臓物を煮込んだようなものは定番。移民文化なので、各国の文化がちょっとずつ混ざって変わったものが多いですね」とのこと。

常連の半分はブラジルに関係なく、渋谷界隈で遊んでいる音楽好き。ラテン語圏であるフランス人も多い。「ウチの一番の常連さんは、J-WAVEで『サウージ!サウダージ...』っていう開局から放送されているブラジル音楽番組のプロデューサーさんで、週3ぐらいで来ますね」。

店長、宿口にとってのブラジルという国の魅力とは。「まず人が面白いですね。すごく人懐っこいし、みんなオープンマインド。クラブも盛り上がっていて、着いた初日に行きましたね。クラブ名がBlen Blen Brazilで、そこから店名を引用しているんですよ。あと、映画のサントラでカルリーニョス・ブラウンっていう人の『Blen Blen Blen』っていう曲もあって」。

 店長である宿口の陽気で軽快なノリも大きな魅力

このバーは、夢を形にした店でもある。大学を出てからバー遊びにハマり、「いずれはバーを開きたい」という目標を持っていた宿口。渋谷のバー、MILLIBARで7年間働いていた。「元々はソウルとかヒップホップなどのブラックミュージックがすごい好きで、レコード屋でも働きつつDJもやっていたんですけど、MILLIBARに入ってからレゲエとかワールドミュージックを聴かされて好きになっていきました。当時パルコにあったクワトロ・レーベルからリリースされたサンパウロのクラブミュージックのCDが、MILLIBARに送られてきて、それが異様にかっこよくて。それがブラジルに興味を持ったきっかけですね」。

そこから、ラテン系音楽雑誌の『Latina』や、ディスクガイドの書籍『クラブミュージック名盤400』にレビューを寄稿するほど、ブラジルの現行の音楽に精通するようになる。たまにクラブでDJもしているという。「バイレファンキとかかけて、ガンガンアゲアゲでいきますね」。宿口の出身地は、偶然ブラジルに縁がある場所だった。「ある時期、群馬県太田市の隣町に大勢移住してきて、人口の12%がブラジル人になったんですよ。ドメスティックなお店にいったらけっこうヤバい音源があって(笑)。帰省した時に、ブラジル人が付ける香水の匂いや肉を焼く臭いを嗅ぐと、ブラジル本国の思い出がフラッシュバックしますね(笑)」。

この店で働くスタッフには、ブラジルやポルトガル語に縁のある人が多く、元スタッフがリオデジャネイロに日本人宿を作ったりもしているという。店に通えば意外な出会いもありそうだ。

「言葉ではなかなか伝わらないので、まずは聴きに来てほしいですね」。日本人には地球の真裏にあって距離を感じてしまうブラジルだが、ここに足を運んでみればぐっと身近に感じることだろう。

そんな、Bar Blen blen blenの2月5日更新分のプレイリストのテーマは「リオデジャネイロの夜は7時」。店長宿口によるコメントはこちら。「リオデジャネイロ、夕方に仕事が終わって『さあ、飲みに行くぞ!』と夜の街に繰り出す際のワクワク感や、リオの飲み屋の賑やかさをイメージして選曲しました。わりと新しめの曲、自分の店でもよくプレイしている曲ばかりです」。

プレイリストリンク 先:KKBOX

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