外務省が始動、原研哉が総合プロデューサーを務めるJAPAN HOUSEとは

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Time Out Tokyo Editors
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外務省が海外発信事業の一環として始動する、JAPAN HOUSEのプレス記者会見が開かれた。「世界を豊かにする日本」を海外へ発信することを目的とした同施設は、現内閣が掲げる「戦略的対外発信の強化」のため、1.日本の「正しい姿」の発信、2.日本の多様な魅力の発信、3.親日派、知日派の育成、の3つを柱に運営される。現時点ではロンドン、サンパウロ、ロサンゼルスの3都市にて2017年に開設予定だ。ギャラリー、イベントスペース、ショップ、レストランを兼ね備え、運営は現地の企業に業務委託する。ここまで書くとJAPAN FOUNDATION(国際交流基金)が脳裏をよぎる人もいるだろう。外務省のホームページによると、ロンドンにおいては既に国際交流基金が入居を決めているようだ。ショッピングモール内に場所を確保しているというロサンゼルスも、同様の流れになるものと推測される。 

総合プロデューサーには、デザイナーの原研哉が就任。3つの施設を含めプロジェクト全体の一貫したブランド構築を担当する。会見において原は、流動する人々の受け入れ方によって経済が大きく左右する時代になった今、成長期から成熟期に入った日本がやるべきことは「世界に評価されるのを待つのではなく、世界で機能し、世界を豊かにする」国になることだと言った。JAPAN HOUSEは、それを日本の持つ技術や伝統、文化から体現していく場所になるだろう。

左 川村泰久外務報道官、右 原研哉総合プロデューサー

各施設の展示スペースでは年に3回、各都市を巡回する企画展を開催予定だ。海外へ活動の場を広げたいと考えているアーティストや企業など、国内にいるコンテンツホルダーに開放される。企画、また作品の制作費以外の経費(広報、運搬など)はJAPAN HOUSEが負担し、企画自体もジャンルや形態は一切問わないという。様々な角度から等身大の日本を見ることができる場所になりそうだ。既に3月25日より、JAPAN HOUSEの公式ホームページにて企画の公募が始まっている。

一点引っかかったのは巡回展の開催地に日本国内が入っていないことである。海外への発信を目的としているとはいえ、企画は国内から募ったものをコンスタントに出展していくには、国内への広報もそれなりに必要になるだろう。

記者会見後に開かれたフォーラムにおいて原は、「世界は日本について知らない人がほとんどで、また国内にいる自分たちも知らないことがたくさんある。JAPAN HOUSEに関わる個々人が「日本とは何か」という大きな疑問に率直に向き合うことで、対外的でありながら国内にも新たな価値や流れが生まれるだろう」と言った。同プロジェクトの最終的なゴールは日本人に向けたものなのかもしれない。今後も継続的にプロジェクトの動向を追いたい。

JAPAN HOUSEの詳しい情報はこちら

フォーラム第3部の登壇者たち

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