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画像提供:千島土地株式会社
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北加賀屋でしかできない8のこと

アートスポットを巡り胃袋もつかまれる

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大阪西部、木津川河口に位置する北加賀屋。大正時代から1970年代まで造船の街として栄えた歴史を持つ。しかしそれ以降、造船業は下火になり、工場は一つ、また一つと閉鎖されていった。

2004年、名村造船所大阪工場跡地でアートイベントが開催されたのを機に、同工場跡を恒常的な創造の場として活用する「クリエイティブセンター大阪(Creative Center OSAKA)」が開設された。これに続くようにアートスポットが誕生し、北加賀屋は「アートのまち」として再生していった。

ここでは北加賀屋の代表的なアートスポットとともに、魅力的な食の魅力も紹介。アート散歩を楽しみながら、胃袋も満たしてほしい。

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  • Things to do

クリエイティブセンター大阪

「クリエイティブセンター大阪」は、大阪市住之江区の木津川河口に位置するイベントスペース。同地にあった名村造船所大阪工場の移転後、その敷地をクリエーティブな活動を通して活性化させるべく設立された。

「STUDIO PARTITA(ライブスペース)」「総合事務所棟」「野外スペース」など複数の会場を有し、見本市や音楽イベントなどが開催されている。

2025年には開設20周年を迎え、1年を通じてアートイベントやライブなどさまざまなイベントを開催する。4月から秋までは、ふ頭にバーベキュー場がオープン。手ぶらでバーベキューが楽しめる。また9月から11月半ばまで仮設サウナが登場し、音楽フェスティバルも開催する予定だ。

スケジュールの詳細は、公式ウェブサイトを確認してほしい。

  • アート

MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)

北加賀屋のまちづくりの中心的な存在であるおおさか創造千島財団が運営する、大型美術作品の保管と展示を行う施設。工場および倉庫の跡地を利用した1000平方メートルもの広さを生かし、国際的に活躍する現代美術作家の大型作品を所蔵する。

参加アーティストは、電気製品を用いたサウンドスカルプチャーで知られる宇治野宗輝、巨大な彫刻作品を各地で発表するヤノベケンジをはじめ、金氏徹平、やなぎみわ、名和晃平、久保田弘成、持田敦子など、国際的な評価も高い実力派が揃っている。

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  • Things to do

千鳥文化

北加賀屋エリアにある複合施設。カフェやバーのほか、ネイルやチョークアートの教室、男性専用のヘアサロンなどが入居している。

建物は築60年を超える「文化住宅」(近畿地方に多い集合住宅の一種)をリノベーションしたもの。「継ぐかたち」をコンセプトに改修された建物は、耐震補強を行いつつ、当時の部材をできるだけ活用し、昔の面影を残している。中は吹き抜け空間になっており、とても開放的だ。

「千鳥文化食堂」では、プレートランチや名物のダッチパンケーキなどが楽しめる。食堂内に併設する「千鳥文化商店」ではアンティーク雑貨や作家もののTシャツ・手ぬぐいや、リトルプレスの雑誌など、パンチのきいた雑貨が販売されている。

そのほか、単一農家・単一品種の日本茶を専門に取り扱うカフェ&ティーショップ、セミオーダーの帽子や小物を販売する造形作家のアトリエ兼ショップ、アジア料理やスパイス料理の料理教室などもあり、まさにここでしか出合えないヴェニューが混在した空間といえる。

ホールでは、現代美術の展覧会をはじめ、ヨーロッパやアメリカの美術館などでパフォーマンスを行い高い評価を得ているcontact Gonzoが主催するパフォーマンスイベントなども不定期で開催。「アートのまち・北加賀屋」を代表するコミュニティースペースとして地元の人にも親しまれている。

「千鳥文化食堂」の営業は11時30分〜18時。そのほか、各店やスペースによって営業時間と定休日は異なるので、XやInstagramを確認してから訪ねよう。

  • アート

モリムラ@ミュージアム

現代美術作家の森村泰昌による作品を常設展示するミュージアム。企画展の会期のみオープンする小さな美術館だが、関西ひいては日本を代表するアーティストである森村の有名作品だけでなく、さまざまな作品が観られる貴重な施設である。

「モナ・リザ」などの著名な西洋絵画になりきるセルフポートレート作品などで名を知られる森村は、「京都市立芸術大学」を卒業後、同大学でアーネスト・サトウのアシスタントを務めるなど、1980年代ごろから盛り上がりを見せた関西アートシーンにとっても重要な作家の一人だ。

大阪市出身の森村が満を持してオープンさせた「モリムラ@ミュージアム(morimura@museum)」では2つの展示室のほか、ミニシアターやサロン、ショップなどが併設。センセーショナルなだけではない、森村作品を支える深い洞察や丁寧なリサーチがうかがい知れる。

日当たりのいいサロンには、森村自身による著書や展覧会カタログなどを収蔵するライブラリーもあり、モリムラ芸術について深く学べる施設となっている。

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  • 音楽

クラブ ダフニア

北加賀屋駅を出て、大通りから工場が立ち並ぶエリアへと歩みを進める。10分ほど歩き辺り一帯が工場や倉庫に囲まれて「本当にこんなところにクラブが?」と疑心暗鬼になりかけた頃、目印ならぬ「耳印」を捉えたらもう近い。すぐにズンズンという重低音の震源地「クラブ ダフニア(club daphnia)」が見つかるだろう。

中に入ると、オーナーの2人が前店舗の解体から音響・照明機材の設置に至るまで、全てをDIYで創り上げたこだわりの空間が広がる。音質は大阪でも随一との定評があり、国外・県外からプレイを熱望するアーティストも多い。

これまでオーディエンスを沸かしてきたアーティストの中には、エレクトロニック・ミュージック・シーンのレジェンドであるモーリッツ・フォン・オズワルドや、大阪を拠点に活動する世界的な音楽家である日野浩志郎のソロプロジェクトのYPYなど、一筋縄ではいかない個性派も多い。

踊り疲れた体を引きずって出口のドアを開く帰宅客。朝日に照らされた幸せそうな顔が何よりの証拠だろう。

  • ラーメン

俺の名はJ

一度聞いたら忘れられない名前のラーメン屋には、一度も食べたことのないつけ麺があった。「俺の名はJ」という店名と真っ黒な看板から、どんな武骨な食べ物が出てくるのかと想像していたが、そこで出合ったのは繊細な「白い」世界。店主は「外見とラーメンが一致しないとよく言われます」と笑う。

彼が作る「つけ麺」(930円、税込み)は、乳製品は一切使っていないのにとてもクリーミーで、豚の臭みはなく、うまみの存在感は抜群。その秘密は冷蔵庫から取り出された、チーズケーキのような白い塊にあった……。

実はこれ、豚足と鶏の足から取ったコラーゲンだけのスープを固めたもの。ここに豚骨スープを合わせることで、オンリーワンな白いつけ汁が生まれる。片栗粉ではなくコラーゲン由来の「とろっ」なのだから、口当たりの心地よさにも納得するだろう。

スープに浸される麺はモチっとした心地よい弾力があり、小麦粉の風味を感じる。喉越しも滑らかで、まさに「良質」という言葉がピッタリだ。それもそのはず、聞けば香り高い北海道産のブランド粉や食感を出すためのうどん粉など、5種類もの小麦粉を最高のバランスでミックスした特注麺とのこと。この唯一無二のつけ麺のためなら、わざわざ大阪市の南端、北加賀屋まで足を運ぶ価値はある。

つけ麺は現在、終売。限定メニューとして登場予定だ。

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豚珍巻

仕事帰りに一杯ひっかけて帰る。それが褒美たるのは、そう簡単ではないとしみじみ思う。地下鉄の北加賀屋駅から徒歩1分。ちゃんと「その日」をすてきに締めくくってくれるのが「豚珍巻(とんちんかん)」だ。

コンパクトな店内を満たす香りに「おいしい餃子が食べられる」と確信しつつ、まずはニンニクがしっかりきいた自家製の「みそキュウ」(450円)で「生ビール」(中、480円)を一杯。注文した料理を待つ間も、一見少し強面な大将と世話好きで明るいおかみとのやり取りが耳に心地よい。

聞けば、本格中華料理店で修行をしたという大将。一度別の仕事に就いたものの、料理への愛情は衰えることなく、この店を開くに至ったのが2008年だという。そこからずっと夫婦二人三脚で切り盛りしてきた。

と、ここで看板メニュー「とんちん餃子」(400円)が熱々の鉄板に乗って登場。ハフハフ言いながら薄い皮をパリッとかめば、ジューシーな肉感に青森県産ニンニクと高知県産ショウガの豊潤な香りが相まって、またもビールが進む。ちなみに、ラー油もたれも全て自家製だ。

もう一つの人気メニュー「海老餃子」(500円)は塩で。これまた塩に引き出されたエビのうま味とプリプリの食感に思わず顔がほころぶ。トロッとしたあんの「とんちん春巻き」(300円)も、具材たっぷりで食べていて楽しい。

「好きだからやってる、それだけ」と大将は語る。その純粋な思いから生まれるおいしい料理、そして店の空気感。こういう店があるからこそ、我々は明日も働けるのだ。

大衆酒場 おく

1977年創業、家族できりもりする古き良き大衆酒場。入り口には大きな文字で「大衆酒場」と書かれた濃紺ののれん、ビールメーカーの名前を掲げたちょうちんと昭和の居酒屋スタイルを今に残す。

「この辺りは造船業で栄えた地域。造船所や下請け工場や倉庫で働く人もたくさんいて、体力を使って疲れ果てた仕事終わりに一杯と立ち寄ってくれる場所でした」と若女将(おかみ)は話す。

「安い、うまい」をモットーに、1皿200〜500円程度と、リーズナブルな価格帯を長年キープしている。 さらに、若竹煮(250円、以下全て税込み)やポテトサラダ(250円)など創業時からの人気メニューをはじめ、串カツや握り寿司、揚げ物や煮物……とメニュー数は200種類以上におよぶ。

「常連さんからのニーズに応えていたらいつのまにか増えていった結果」という、カウンター奥の壁に掲げられた黒板3枚に隙間なく書き連ねたメニュー表も壮観だ。豊富なメニューを展開しながらも、店内仕込みの手作りにこだわり、いずれの料理にも妥協がないことも長年愛される秘訣(ひけつ)といえよう。

近年は家族2世代、3世代で訪れる常連客も多く、昭和レトロが好きな若いカップルの来客も増えたとか。かつてはいわゆる「おじさんが集う大衆酒場」だったが、メニューの豊富さと、大将家族によるアットホームな接客も相まって、より開かれた店になっているのだろう。

大阪のアートをもっと深堀するなら……

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  • アート

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