1. 水無瀬神宮
    Photo: Kisa Toyoshima
  2. 水無瀬神宮
    Photo: Kisa Toyoshima
  3. リストランテ コンテ
    Photo: Kisa Toyoshima

余白のある旅のススメ ー 大阪・島本町編

身も心も軽やかに「名水の町」を散策しよう

テキスト:
Shiori Kotaki
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旅行に出かけるとなると、ついつい旅先での予定を詰め込んでしまいがちだ。もちろん、行きたい場所を制覇していく旅も悪くはないのだが、もうワンランク上の「充実」を求めて旅に出てみるのはどうだろう。

ここで提案するのは「余白のある旅」。例えば事前に決める目的地は一つだけにして、時には偶発的な出合いも楽しみながら、その道中をのんびり散策しようというものである。

本記事では「サントリー山崎蒸溜所」を目的地に、古くから「名水の町」としても知られる島本町エリアのモデルルートを紹介する。このルートを参考に旅をするのもいいし、もちろん自分流のルートに変更するのもいい。自分自身の中にも余白を持つからこそ吸収できるものはきっと多いはずだ。荷物もできる限り最小限にして、身も心も軽やかに「満たされる旅」を楽しもう。

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  • ショッピング

大阪府と京都府の境に位置する島本町。水無瀬駅に降り立つと、ゆったりとした時間の流れに「ここは本当に大阪なのか?」と少し驚くかもしれない。

まずは、水無瀬駅から5分ほど歩き、地元住民にもファンが多い「いちまるとうふ」で散策の相棒を手に入れよう。優しい甘さの「おからドーナツ」は、食べ歩きにもうれしい一品だ。

もし豆腐好きであれば、「公園に立ち寄る」というルートを追加して「寄せとうふ」や「生ゆば」といった商品もぜひ味わってみてほしい。いずれもシンプルながらも奥深い味わいで、購入した際はまず、醤油などは付けずに素材本来の味わいを楽しむのが正解である。

  • Things to do

「いちまるとうふ」からさらに5分ほど歩くと「水無瀬神宮」に到着する。住宅街にたたずんでいることもあってか、ゆったりとした穏やかな空気感が印象的だ。

境内では「全国名水百選」に選ばれた「離宮の水」をくむこともでき、連日、多くの人が訪れている。名水を持ち帰りたい人は、取水時間や量などのルールを守った上で手に入れよう。

「水無瀬神宮」は、1240年に後鳥羽天皇が足繁く通ったといわれる離宮跡に建立された神社。御祭神として祭るのは後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇。後鳥羽天皇は文武両道に優れていたと伝わることから、現在も「学問の神」「スポーツの神」として崇められている。

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  • レストラン

目的地へとたどり着く前にしっかりと腹ごしらえはしておきたいところ。「水無瀬神宮」から歩いて約10分、「サントリー山崎蒸溜所」からもすぐのところにあるうどんの名店「かぎ卯」は、まさにうってつけの場所といえるだろう。

同店の特徴は「離宮の水」を用いてだし汁をとっていること。店主が毎朝「水無瀬神宮」を訪れ、水をくんできているのだという。いちおしメニューは「京のこだわり白みそと生麩のつけ麺」。カツオやサバ、ウルメイワシなどでとっただしに白みそを溶いたつけ汁は、柔らかく上品な味わい。トッピングされたユズが爽やかなアクセントとなり、最後まですっきりと味わえる一品だ。

実はこの店、​​谷崎潤一郎の小説「蘆刈」に登場することでも広く知られている。訪れる前に小説を読んでおけば、また一味違った楽しみ方もできるだろう。

  • Things to do

うどんで腹を満たしたら目的地の「サントリー山崎蒸溜所」へ。「山崎」は国外からも高い人気を誇るシングルモルトウイスキーで、「山崎蒸溜所ツアー」(要予約)に参加すれば、ウイスキーの製造工程を見学したり、「山崎」の構成原酒(非売品)をテイスティングしたりと、蒸留所ならではの体験が存分に楽しめる。たとえアルコールが苦手な人でも、その製造過程にはきっと興奮するものがあるはずだ。

「山崎蒸溜所ツアー」「山崎ウイスキー館見学」ともに完全予約制で、予約の受け付けとともに枠が埋まってしまうことも多いそう。気になる人は、早めに公式ウェブサイトで詳細を確認しておこう。

また、蒸留所中央の町道を登った先にある「椎尾神社」はこの地域の氏神様で、毎年11月にはサントリーの主催で秋の祭礼も執り行われている「山崎」とも縁の深い神社。訪れた際はぜひ併せて参拝してほしい。

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  • レストラン

このまま帰路につく場合は、山崎駅から京都駅に向かうといいが、もう少しこの地を満喫したい人は水無瀬駅方面へと戻ろう。旅を絶品ジビエで締めるという手があるのだ。

水無瀬駅から徒歩2分のところにある「リストランテ コンテ」は、シェフでありハンターでもある宮井一郎が、自身で狩猟したシカやイノシシ、カモなどをトスカーナ料理に仕立てて提供するジビエ料理の専門店。宮井は毎朝必ず山を訪れ、新鮮な状態で丁寧な処理を施しているため、同店のジビエは驚くほどに臭みがなく柔らかい。

「若いイノシシ肉はこの料理がいい」「この料理は年老いたシカ肉がいい」といったように、その肉に適した料理を作ってもらうことができるほか、「5,000円くらいで作ってほしい」「がっつりステーキがいい」といったリクエスト方式でのオーダーも可能なので、ぜひ会話を通してメニューを注文してみてほしい。

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