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海外からのクリエイティブ移民のいる未来を考える

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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障害者をはじめとするマイノリティや福祉そのものに対する「意識のバリア」を取り除くべく開催されている『2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展』。会期中に行われている、タイムアウト東京がディレクションするシンポジウムでは、「Beyond Diversity」をテーマに科学やテクノロジーの進歩により拡張していく世界について、ダイバーシティの先にある未来をディスカッションしていく。

第1回は、「Beyond borders 」をテーマに『TEDxTokyo』共同創立者のパトリック・ニュウェルと風営法改正や外国人の就労ビザ規制緩和などに関わる、弁護士の齋藤貴弘を迎えて行われた。イノベーション力に欠けると言われる日本に、海外からクリエイティブ移民を受け入れていくことについて、クリエイティブ移民とは何なのか、そしてこれからの課題についてそれぞれの観点から語ってもらった。

そもそもクリエイティブ移民とは、クリエイティブ産業に携わり、日本で新しいコンテンツを産み出す海外からの人材を指している。世界から人材を受け入れることによって、彼らの才能を日本から世界に発信し、経済発展を目指していこうということだ。しかし、現状では、海外からの人材を受け入れるにあたり、日本での就労のハードルは高く、企業に雇用されていることが前提にないとビザの取得は困難だ。

齋藤は、来年国会で審議される外国人の就労ビザ規制緩和にともなう、各種ルールメイキングや新規事業支援を行っており、現在、日本で起業をしたいと考える外国人や、クールジャパン、インバウンドに関わる人材へのビザの緩和に向けて活動をしている。今後の課題としては、いざ緩和となっても日本での受け入れ体制が整っていないことや、ルールを上手にマネジメントしていく必要があることだと語る。

実際に起業し、日本で生活している「クリエイティブ移民の先駆け」とも言えるパトリック・ニュウェルは、外国人の受け入れについて、日本は安全だが外国人にとっては住みづらい場所だと話す。たとえば、家族で移住しようと考えたときに、アパートを自由に購入できないなど様々な不自由な面が出てくるからだ。また、日本からイノベーション力のある人材が産まれづらい原因として、考えることをさせず、ルール重視に傾いている日本の教育システムの問題を挙げた。今後、クリエイティブ移民を受け入れていくことも大切だが、イノベーション力のある人材を育て日本人自体がクリエイティブ移民として活躍できるような未来になっていったらいいのではないかと語っていた。 

2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展』は、11月13日(日)まで渋谷ヒカリエを中心に開催。タイムアウト東京が主催するトークイベントでは、LGBT、もてなし、子育てについてのトークセッションが、様々なゲストを迎えて行われる。

パトリック・ニュウェル(TEDxTokyo 共同創立者)

人々や企業、団体の可能性と未来を繋げるカタリスト、活動家。1995年に設立された東京インターナショナルスクール、2008年に開始された『TEDxTokyo』、日本の児童養護施設に通う孤児の生活をより豊かなものにするための「NPOリビング・ドリームズ」の共同設立者でもある。

齋藤貴弘(弁護士/ニューポート法律事務所/NEXTOKYO) 

2006年に弁護士登録の後、勤務弁護士を経て、2016年にニューポート法律事務所を開設。近年は、ダンスやナイトエンターテインメントを規制する風営法改正をリードするほか、外国人の就労ビザ規制緩和などにも関わり、規制緩和を含む各種ルールメイキング、さらには規制緩和に伴う新規事業支援にも注力している。

関連イベント
超福祉展シンポジウム Beyond LGBT 長谷川愛×増原裕子
超福祉展シンポジウム Beyond inclusion 若原圭子×玉置泰紀
超福祉展シンポジウム Beyond nurturing 土田和歌子×七尾藍佳

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