1. 米


日本の主食である米は、食材としてだけでなく、経済を動かす「通貨」としても大阪の歴史に欠かせない存在であった。
本格的に通貨の役割を果たし、経済活動の基盤となったのは江戸時代のこと。それは、年貢として徴収され、武士の給与としても米が支給されていたほどだ。その米が集まり、活発に取引されたのが、「天下の台所」として栄えた大阪である。
幕府公認の「堂島米会所」で決まる米の相場は、全国の基準となる影響力を持った。現代の証券会社に近い存在である米の仲買人たちも、顧客からの注文を取り次ぐことで巨万の富を築き上げたという。帳面上だけで米の売買取引を行う「帳合米商」は庶民にも開かれていたため、米を軸とした経済は、商人だけでなく庶民の暮らしも潤し、現在の「食いだおれの街」につながる独自の食文化を花開かせていった。
堂島米会所は今や姿を消したが、その跡地には建築家の安藤忠雄がデザインした大きな米粒の石碑が建てられている。また、現在は耐震工事に伴い休館中だが(リニューアルオープンは2026年3月中を予定)、東大阪市にある「鴻池新田会所」では、豪商が米の増産を目指して建てた米蔵の姿に、当時の繁栄と華やかさを感じられるだろう。


















