バー・ジャズ
Photo: Kisa Toyoshima
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大阪、レコードバー5選

心斎橋・福島・玉造で名盤とうまい酒に酔いしれる

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かつてジャズ喫茶なるものを生み出したこの日本で、レコードバーの出現は必然だったかもしれない。近年は外国人観光客にも人気を広げ、彼らに人気の店も多い。

ここでは大阪に点在する、レコードバー5店をピックアップする。デジタル音源とは異なる、レコードが持つ音の温かみや厚みはもはや説明不要だろう。レコードバーでは、店主こだわりの音響機材で、ジャズにソウル、ラテン、J-POPなどから、選りすぐりの1曲を聞かせてくれる。

そして、うまい酒がそこにあれば、もう言葉はいらない。客と店主と音楽が作り出す一期一会のひとときを求めて、レコードバーに繰り出してみては。

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心斎橋と長堀橋の間に位置するレコードバー。グローバルな人気を誇る店で、日によっては、客の8割近くが、イギリス、カナダ、アメリカ、フランスといった海外から訪れるレコード好きで占めることもある。

「レコードの音はCDと違ってマイルドで、ずっと聞いていても疲れないところが魅力」と店主の松本英雄は語る。約5000枚のレコードコレクションはアメリカ、イギリスの70年代のソウルや「シンガーソングライターもの」に加え、店主が「B級ジャズですね。でもその感じがいい」と苦笑いする90年代のアシッドジャズやジャズファンク、さらに日本のシティポップやラテンなどが揃う。

スピーカーはJBLの歴史的名作、1978年モデルの4311-A。これに小型スピーカー2台を加えたマトリックス式セッティングで、柔らかく響く良質な音を生み出している。

ドリンクは「スーパーニッカ」や「サントリーローヤル」など、昭和以来愛されてきた日本のベーシックウイスキーのソーダ割りが好評だ。

店のチルな空気の妨げにならないよう、4人以上のグループや大声で話す人は入店不可。店内喫煙可で、禁煙席はない。

JR新福島駅の南側は、太平洋戦争時の空襲を免れた昭和初期頃の古い木造家屋が密集しているエリア。そんなちょっとしたタイムスリップ感も味わえる場所に潜む、築100年の3階建て古民家に入るのがこのレコードバーだ。

フロアはゆったりとした吹き抜け空間へとリノベーションされている。まず壮観なのが、オーディオマニアには垂涎(すいぜん)の1960年代の歴史的名作スピーカー、タンノイ社製「コーナー ヨーク(モニター レッド)」の威容。600枚以上もあるという貴重なレコードコレクションは、 1950年代から60年代のジャズが中心だという。

もちろんドリンクも充実していて、 約300種類のウイスキーのほか、ブランデーやカルバドスなどを揃える。希少なプレミアムスピリッツとともに楽しむ、木造空間ゆえより美しく響くハイエンドオーディオの音。味わえる場所は、そう多くないはずだ。

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大阪市福島にあるレコードカフェバー。天井高が約4メートルあるゆったりと広い50席のフロアには、オーディオマニア垂ぜんの大型・超高級スピーカーが3セット鎮座している。オーナーである川越智夫のスケールの大きな「オーディオ愛」を感じる店だ。

機材は全てビンテージで、スピーカーは1950年代のタンノイの「コーナーヨーク」やアルテックの「ラグーナ」などのほか、4台の真空管アンプも揃える。川越はそれらを気分によって使い分けるという。
 
約3000枚のレコードコレクションは、ジャズやソウルを中心に、昭和のJ-POPもカバー。レコードに針が乗せられた途端、目の前でミュージシャンが演奏し始めたような、異次元の生々しい再現力に誰もが驚くだろう。

ドリンクのコレクションは、ウイスキーだけでも100種類を超える。世界的にプレミアム価格が付くジャパニーズウイスキーの「富士山麓」が1,400円(以下全て税込み)という良心的な価格設定だ。音楽好きもウイスキー好きも、一度足を運んでみる価値はあるだろう。

心斎橋にあるレコードバーの名店。オープンは2003年で、関西だけでなく全国から音楽愛好家が訪れる。約2000枚のレコードは、ブラジリアン、ジャズ、 ソウル、メロウヒップホップなど。それぞれのジャンルの新譜もコレクションされている。

選曲はアルバム単位ではなく、1曲ごとが基本。オーナーでバーテンダーの牧慶次は、カウンターで客とセンス良く会話を続けつつ、棚から素早くレコードを取り出し、その時々の店内の雰囲気に合わせた曲をかけていく。そのよどみのない自然な動きは職人芸のようだ。

オーディオは、JBLの大型スタジオ・モニター・スピーカー4550BKをベースにしたオリジナルユニット。ミキサーも、専門メーカーCDSに特注したオリジナルで、音質のクリアさにこだわっている。

ドリンクは、ベーシックなスピリッツやリキュール以外に、店主自ら南大阪の畑を耕して収穫したブドウを使った、オリジナルワインがおすすめだ。浮遊感のある選曲とワインとの絶妙なマリアージュを味わってほしい。

不定休や営業時間の変更もあるので、訪れる際は店のXInstagramを確認しよう。

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大阪メトロの玉造駅近く、長堀通沿いに位置する店の入り口から見えるのは、明るい時間帯から賑わう開放的なコーヒースタンド。ところが店の奥に進むと、突然隠し部屋のようにレコードバーが現れる。

この非日常的な空間で目に入ってくるのは、高さ約2メートルの尖塔(せんとう)のような異形のビンテージスピーカー、マッキントッシュXRT-25。16のツイーターが縦に並ぶ、独特な構造になっている。

30代の、オーナーでありバーテンダーの中川慶祐がかけるのは、全てアナログレコードだ。レコードコレクションは約1500枚あり、90年代以降のヒップホップ、アメリカと日本のインディーズを中心に、藤井風などのJ-POPまでをカバーしている。「レコードには、CDにはない音の色っぽさがあり、一枚通して音に向き合える」と中川は言う。

飲み物は、クラフトジンが約50種類あり、品ぞろえが充実。その約半分が日本産で、貴重な辰巳蒸留所のジンだけで10種類、宮崎の「尾鈴ジン」など希少品もあり、どれも良心的な料金で提供している。

奥のレコードバーで心地よい音と酒を味わうのもよし、表のカフェで音楽談義をするのもよし。ここでは、気分に合わせた楽しみ方ができそうだ。定休日は月によって異なるので、訪れる際は店のInstagramをチェックしてほしい。

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