6月1日(火)より再開し6月22日(火)まで会期延長。入場料は無料だが完全予約制
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2018年、東京都とトーキョーアーツアンドスペース(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館)によって創設された現代美術の賞『Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)』。これは、更なる飛躍とポテンシャルが期待できる国内の中堅アーティストを対象とした賞で、受賞したアーティストには、海外での活動や東京都現代美術館での展覧会など、約2年間の継続的な支援を行うというものだ。
本展は、その第一回『TCAA 2019-2021』の受賞者である風間サチコと下道基行の受賞記念展覧会。初期作品から最新作までを一堂に展示する内容となっている。
風間の作品で注目したいのは、ドイツの作家、トーマス・マンの結核療養所を舞台にした小説『魔の山』から着想を得た最新作シリーズ『Magic Mountain』。この新作について風間は、「コロナ禍を機に、私自身の創作の原点『内省と空想・世界と自我の対立と和解』に立ち返り、魔の山リモート登山(心の旅)の経験を生かした作品」とコメントしている。『Magic Mountain』に関連した過去作品をあわせて展示されるので、作家の思考の変遷を感じてみてほしい。
また、昨年から生まれ育った瀬戸内海地域で、古い郷土資料を収集するプロジェクトを始めた下道は、作家以外の人物の思考が加わったり、人の手に渡る、あるいは人々の中で使われたりすることで「作品」との境界を越境するようなシリーズを展示。日常生活と直接的に関わることで生み出される作品から、その狭間にある「何か」を浮かび上がらせることを試みる。
作品画像や制作に関する作家のコメントなどを掲載したモノグラフは、展覧会の開幕に合わせて日英で発行(非売品)。