T2 トレインスポッティング

映画, ドラマ
0 Love It
保存する
T2 トレインスポッティング

『T2』というタイトルは、「テイク2」を意味し、20年後だからこその視点で、前作で描かれた友情と裏切りの物語を再び見つめているようにもとれる

過去は再現できないが、1日、1週間、1ヶ月、1年と時間を経て新しい自分に生まれ変わり、物事を違う視点から見られるようになったときに、頭の中で何度も過去を思い出すことはできる。このドラッグで幻覚を見るようなアイデアこそが、ダニー・ボイル監督が現在との折り合いがつかない過去を熱狂的かつ内省的に描いた本作『T2 トレインスポッティング』の核だ。たとえ1990年代のブリットポップ全盛期に前作『トレインスポッティング』が放った一度限りの魔法には匹敵しないとしても(正直なところ、どうしたら匹敵させられるだろうか)、本作ではいくらかの高揚感の高まりとわずかな低迷感が描かれており、そこに決して怠慢は見られない。

アムステルダムで小売部門における在庫管理ソフトウェアの仕事をしながら、ぼろぼろの状態で人生を送ってきたレントン(ユアン・マクレガー)がエディンバラに舞い戻るところから物語は動き出す。故郷に戻った彼は、ますます悲惨な人生を送るスパッド(ユエン・ブレムナー)を探し出し、ビジネスパートナーのベロニカ(アンジェラ・ネディヤコバ)とともにゆすりと売春を稼業とするシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)と再会する。欠けた最後のピースは、ベグビー(ロバート・カーライル)だが、彼は長年レントンの裏切りに対して激怒したまま、刑務所に服役中だった。

本作は続編ではあるが、物語の続きがただ描かれているだけではない。いかに我々がノスタルジーに左右されるかを理解しており、それを刺激し、弄ぼうとする。『T2』というタイトルは、「テイク2」を意味し、20年後だからこその視点で、前作で描かれた友情と裏切りの物語を再び見つめているようにもとれる。本作では、映画『トレインスポッティング』からの抜粋映像や、若かりし頃のフラッシュバック映像がスーパー8mmフィルムの様式で映し出される。ジョン・ホッジが手がけた脚本は、アーヴィン・ウェルシュが書いた続編小説『ポルノ』に基づきながら、前作の原作小説にも立ち戻っている。

また、前作と同様に、低水準の生活と悪運強さ、実生活を描く定型化された独特のスタイルが、魅力的な融合を遂げている。音楽もやはり重要で、聞き覚えのある楽曲が使用されているが、曲調は落ち着き、より感傷的に響く。よりダークで、よりユーモア抜きで、少しばかり壮大に描かれた物語だ。ビジュアルに関しては無秩序なのは変わらないが、撮影法はより大きなスケールを帯び、表情はより成熟した形で映し出されていた。

観客の胸に刺さるためには、本作は憂鬱に満ちすぎているかもしれない。バーでの喧嘩、夜間の追跡、安っぽいポルノがらみの詐欺などが描かれる陶酔したようないいかげんな復讐の物語でもなく、過ぎ去った時代や、逃した機会、そして失った関係が描かれる気の滅入るような物語でもなく、慌ただしくて騒々しくもあり落ち着かない作品に仕上がっている。しかし、それらの要素によって、前作がスタイルと魂において名作であることを十分に証明しているのだ。さらに、正しい清算、あるいはノスタルジックな再集結だけで終わらず、それよりはるかにずっと興味深いかたちで続編を完成させたことについては、ダニー・ボイル監督とオリジナルのスタッフやキャストに敬意を表すべきだろう。本作には戯れとエネルギーが溢れているにもかかわらず、いまや歳を重ねてしわが刻まれて気苦労が増えたキャラクターたちの顔を見ることで、奇妙さと悲哀を感じ、妙に脳裏に焼き付いて離れないという体験ができるはずだ。

関連記事

公式サイトはこちら

原文:DAVE CALHOUN
翻訳:小山瑠美

2017年4月8日(土)より丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

掲載日

リリースの詳細

出演者と制作者

監督 Danny Boyle
脚本 John Hodge
出演 Ewan McGregor
Jonny Lee Miller
Robert Carlyle
Ewen Bremner
LiveReviews|0
2 people listening