エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE

映画, アクション&冒険
3 5 つ星中
エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE

タイムアウトレビュー

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ジェシー・ピンクマンを中心人物とするスピンオフ作品がNetflixで公開

注意:『ブレイキング・バッド』のネタバレを含む。

シェーンが馬に乗って地平線の彼方に去っていった後どうなったのか?と考えてみたことはあるだろうか。映画『ショーシャンクの空に』のレッドとアンディはメキシコのビーチでどんな生活をしたのか……。 「完璧なエンディングはそのままで手を加えない方がいい」と思うなら、『ブレイキング・バッド』の続編は見るべきではないのかもしれない。

悪い作品というわけではなく、熱心なファンにとっては、アーロン・ポール演じる愛すべきジェシー・ピンクマンとの再会できるうれしい機会である。しかし、粋に制作されたファンサービスの一環をこえる場面はない。

問題は『ブレイキング・バッド』のエンディングが完璧だったことだろう。夢のような哀愁や悲しみ、激しい感情の浄化などの高まりに対する着地点をうまく見つけだす作品はほとんどない。 62話をかけて盛り上げた音を見事に弾いたエンディングであり、それを自己完結型のスピンオフ作品で釣り合わせることは不可能だ。作品の制作者であり脚本と監督も務めたヴィンス・ギリガンは、このことを理解しているかのようであり、挑戦すらしていない。その代わりに、本作『エルカミーノ』では、本編に登場したロケーションやほんの数名の生き残った登場人物たちを巡る緊張感のないぶらり旅が、映画的な時間内であるにもかかわらず本編とほぼ同様のペースで進む。

これらはファンの気を削ぐものではなく、またそうなるべきでもない。ポールはまるでそこにずっと居たかのように見事にジェシー役を演じている。『ブレイキング・バッド』本編でネオナチが皆殺しにされ、ウォルター・ホワイト(ブライアン・クランストン)が道に倒れて死んでいる中、ジェシーが歓声を上げて自由へと空回りするところから、ギリガンの『エルカミーノ』は始まる。鎖につながれたままおりに入れられ、殴られ、銃で撃たれ、逃げまどっていたことによるPTSD を調べることにも触れられているが、じきに愚かな捕獲者トッド(笑いを誘うジェシー・プレモンス)にまつわる回想的な余談へと話は逸れていき、『エルカミーノ』は展開する前に空回りをしてしまう。後の回想でわずかにウォルターが再登場するが、その効果はほとんどない。

『ブレイキング・バッド』は真の暗黒性と痛烈でコーエン的な機知を融合することに常態的に成功していた。その規模は小さいがそれはここでも明らかであり、死体を処分するという危険が本編のシーズン1さながらの笑いを起こし、散発する暴力はうまい具合に不条理主義な仕返しを受ける。ギリガンは場違いにも思える映像の装飾を見せつけることもあり、例えばジェシーが宝探しの要領でアパートの内部を引き裂く場面の頭上から撮られた「タイムラプス ショット」や、本編でもおなじみの音楽の素晴らしい挿入などがそうだ(ドクター・フックの『 Sharing the Night Together 』をあなたの『ブレイキング・バッド』プレイリストに追加すること)。 『エルカミーノ』は本編の最高点には到達しないかもしれないが、その遺産を壊すようなものでも到底ない。ファンにとっては Netflixの保管場所に仕舞い込んで、再発見されるのを待つことだろう。

原文はこちら

『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』本編はこちら

詳細

リリースの詳細

出演者と制作者

監督
Vince Gilligan
脚本
Vince Gilligan
出演
Krysten Ritter
Aaron Paul
Scott Shepherd
Jesse Plemons

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