鳩の行動は面白い。腐食性の自身の糞を踏み、足を自傷したり、仲間の死骸を共食いするからだ。鳩は実存を省みるだろうか(原題『A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence』は「実存を省みる枝の上の鳩」の意)。しかし、スウェーデン出身のロイ・アンダーソンが監督した奇妙なブラックコメディから、その答えは見つからないだろう。彼が描き出すのは「人間の本質」だからだ。もし、この3部作の中の過去作品『散歩する惑星』、『愛おしき隣人』を観たことがなければ、今作は今までに観たことのないような、唯一無二の作風に感じられるだろう。全39シーンに映し出されているのは、実存主義の哲学者によって脚本が描かれ『The Fast Show』(イギリスBBCの人気TVドラマシリーズ)の特色をとらえた、『モンティ・パイソン』の寸劇なのである。