TOKYO MUSIC BOX #5 グランドファーザーズ

テキスト:
Kunihiro Miki
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※プレイリストは記事下部
in collaboration with KKBOX 

グランドファーザーズ

値段:

音量:★★★

照度:★★

出会い:

ポイント: 老舗、リクエストOK

看板メニュー:あたりめ

定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフ、常連客がセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。

第5回は、渋谷の老舗バー、グランドファーザーズ。年季の入った店ならではの味わい深い雰囲気が、JBLスピーカーから放たれる名曲をさらに魅力的に響かせている同店だが、オープンはロック黎明期の1971年。当時はロックのLPを1曲ずつ繋ぐという当時ではまだ珍しい選曲スタイルでスタートしたが、時を経るうちにジャンルは広がり、現在は70年代前後のポピュラー音楽全般、特にAOR、ファンク~ソウルなどを中心とした曲がプレイされている。

1曲ずつレコードを取り替えるスタイルはオープン当初から変わらず、選曲係を勤める店長またはスタッフは、常にターンテーブルに張り付いている。2代目オーナーの石川徹は学生時代に同店でアルバイトを始め、40年にわたって勤務を続けている。「長くやっていますが、僕が顔と名前、職業まで把握している常連さんって、10人いるかいないか。なぜなら勤務中はずっと選曲してターンテーブルと向き合ってなくてはいけないから(笑)。あまりお客様と会話をするタイプの店ではないですね」。 

客層は20代〜50代と幅広い。当時聴いていた音楽をリクエストしにくる客もいれば、古い音楽を求めてやってくる若者も多いという。「今はレコードで音楽を聴ける店、というのが再び重宝されているということかもしれません。20代くらいの女性が『Route 66』をリクエストされたときは驚きましたが、ご両親の影響なのかなと思いますね。アナログレコードはCDやデータで聴くのとは違って、暖かくて太い音が大変心地いいです。うちでかかるのはレコードの良さが際立つもの、ロックでも音に隙間のあるものというか、空間に馴染むものを選んでいるので、ハードな音楽はかけていません。ディスコ系なんかも物によってはありますよ」。

レコード棚にはおよそ2500枚のLPや7インチ、12インチが所蔵されている。開店当初から並んでいるものが大半だが、新譜のチェックも欠かさない。「良いものだったら最近のものも仕入れていますよ。最近だとJoss Stone、Vintage Trouble、Rumerなどですね。彼らの世代は親が聴いていた音楽からの影響でこういう音になっているんでしょう。面白いです。ただ、新譜のアナログリリースは初回のみで入手困難になることが多いので、すぐに手に入れないといけないんです」。

敷居の高そうな「老舗ロックバー」の肩書きとは対照的な風通しの良さは、石川のセンスによってポップミュージックの過去と現在が自然なかたちで同居しているからこそなのだろう。

そんな、 グランドファーザーズのプレイリストは第3弾は、同店の定番曲から1973年にリリースされたブラックミュージックをセレクト。ソロとして新たな境地を開拓したダイアナ・ロス、壮大なオーケストレイションで70年代のソウル、ファンク、ディスコサウンドに大きな影響を及ぼしたバリー・ホワイト、そしてスティービー・ワンダーの『インナー・ヴィジョンズ』、ダニー・ハサウェイの『Live』という大名盤が登場したこの年は、ブラックミュージックの新時代の幕開けを象徴する年だったのかもしれない。

プレイリストリンク 先:KKBOX

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グランドファーザーズのプレイリストは第2弾は、同店の定番曲から1970年〜1972年にリリースされた楽曲をセレクト。Simon & Garfunkel『明日に架ける橋』、Jackson 5『I'll Be There』をはじめ、James Taylor、Derek & The Dominos、Carole King、The Rolling Stonesなど、たった2年間にこれだけ多く、後生に語り継がれる大名曲の数々が生まれたとは驚きだ。

 

 

11月27日更新分のプレイリストは、「グランドファーザーズの10曲 #1」。グランドファーザーズ40年の歴史のなかでもとりわけ多くレコード棚から引っ張りだされ、プレイされた曲をリストアップ。シネイド・オコナーにリチャード・マークス、ロバート・パーマー、トレイシー・チャップマン、そしてシャーデー、バングルス、ビーチボーイズと、泣く子も黙るエバーグリーンなメロディーのオンパレード。知っているようで意外と聴いたことのなかった名曲とも出会えそうだ。

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ブラザーズ・ジョンソンの『Strawberry Letter 23』をかけた後には原曲のシュギー・オーティスのオリジナル盤を見せてくれた

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