日光、鬼怒川、会津へ。東武の新型特急車両「リバティ」が運転開始

テキスト:
Satomi Saruwatari
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2017年4月21日(金)にいよいよ営業運転が始まる、東武鉄道の新型特急車両「リバティ(Revaty)」500系の試乗会に参加してきた。インターネットで検索すれば、最高時速や収容客数などのスペックは簡単に分かると思うので、ここでは鉄道オタクでも乗り物マニアでもない筆者が、一乗客として感じたことをレポートする。

川の流れをイメージした天井

車内に入ると、大きな窓から太陽光が差し込み、荷物棚は少し低めに設けられているにも関わらず、全体的にゆったりとした印象を受けた。デザインは、フェラーリのデザインをした日本人として知られる奥山清行が代表を務める工業デザイン事務所、KEN OKUYAMA DESIGNが監修した。シャンパンベージュの車両に、浅草〜鬼怒川を走る車両らしく、隅田川と鬼怒川の流れをイメージした天井の波線、江戸小紋をモチーフにしたテキスタイルの椅子などが、どことなく優雅な雰囲気を醸し出している。

車椅子でも入れる多機能トイレ

デザインのほか、バリアフリーの設備など注目すべき点はいくつもあったが、なかでも固定車両を繋ぐ貫通扉はぜひ内側と外側の両方から見てほしい。(基本的に)3両固定の6両編成で運行する「リバティ」。3両ずつの車両を連結させるのだが、貫通扉が先頭車両に搭載されているため、すべての車両間が移動可能となる。これが新幹線の場合、長い鼻のような部分を繋げるため、固定車両間の移動はできない。

貫通扉

つまり、1両目と3両目はどちらも先頭車になりうるし、連結して通路にもなりうるのだ。正面の蟹の腹のような部分がパカッと開き、中から通路となる黒いボックスが出てくる。そして、手作業でホロ(車両の連結部分を覆うアコーディオンのようなもの)を被せる。ここで気になるのは、ボックスがどこに隠れているかだろう。なんと、車掌のいる操縦席の間に収められている。特別に見せてもらった操縦エリアは広いとは言えないが、あのボックスが収められているなら納得できる。春日部や下今市で、連結または切り離しの作業を見られるだろう。

貫通路

運転席の椅子も江戸小紋

と、ここまで熱を込めて書いてきたが、車両の先頭に貫通扉があるデザインは決して珍しいわけではない。インターネットで検索すれば、クリーム色に赤い帯の国鉄時代の車両が多くヒットする。「リバティ」と比較すると、上部の運転席や、正面のネームプレートがごてごてとした印象を与え、国鉄カラーも手伝って懐しさと同時に古臭さを感じる。「きっとデザイナーは、いかに扉のように見せないかという課題と向き合ってきたに違いない。その結果生み出されたのがこの蟹の裏側のようなデザインなのだ」。そんなことを考えながら眺めると、より楽しめる(かもしれない)。

車内ではNTT Docomoの回線のWi-Fiがあり、メールアドレスを登録すれば誰でも利用可能だ。各座席にコンセントが完備されているのも嬉しい。なかなか導入が進まない新幹線と異なり、バッテリーの心配をする必要はない。

東武鉄道の新型特急車両「リバティ」は2017年4月21日(金)運転開始だ。浅草から鬼怒川、会津へ、優雅な電車旅に出かけたい。

壁にも江戸小紋の縁起物トンボが

広々とした通路

トイレには子ども用の椅子とおむつ替えのベッドを完備

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