幻の肉筆画を公開、すみだ北斎美術館がオープン

Mari Hiratsuka
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Mari Hiratsuka
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江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の作品を集めたすみだ北斎美術館が2016年11月22日(火)に開館した。墨田区は、90年の生涯のなか93回引っ越しをしたと言われる北斎が生涯の大半を過ごしたゆかりの地だ。美術館の設計は、世界的に知られる建築家の妹島和世が手がけた。この近代的な建物のなかに北斎の作品は眠っている。

コレクションのなかには、墨田区が集めた作品に加え、世界有数の北斎作品コレクターで研究者でもあったピーター・モースや、浮世絵版画を大きな視野でとらえ、貴重な資料を収集し研究してきた浮世絵研究の第一人者である楢﨑宗重の集めた作品が揃う。 

見どころとしては、企画展で展示されている、隅田川を遡って吉原に向かう様子を描いた、100年以上行方が分からなかった幻の肉筆画『隅田川両岸景色図巻』や、焼失してしまった、北斎晩年の傑作と言われる『須佐之男命厄神退治之図 (すさのおのみこと やくじん たいじのず)』をモノクロの写真から復元した大絵馬など貴重な作品だろう。

そのほかにも、常設展示では、冨嶽三十六景や北斎漫画など各期の代表作(実物大高精細レプリカ)や、タッチパネルや映像を使って北斎の作品の時代背景や詳細を学びながら作品を鑑賞できるコーナー、北斎のアトリエを再現した模型などが展示され、楽しめる仕掛けも十分だ。

すみだ北斎美術館は今後、時代を超えて利用できる美術館を目指し、生涯学習の場として美術館を開放するほか、大人向けワークショップや子ども向けの公演も行っていく。

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