きゃりーぱみゅぱみゅのアソビシステムが語る世界戦略とは

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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Originally posted November 18 2014

2014年11月13日(木)タイムアウト東京の主宰するトークイベント『世界目線で考える。クールジャパン編』の第1回が開催された。記念すべき初回のゲストはアソビシステム株式会社代表取締役社長の中川悠介。きゃりーぱみゅぱみゅを世に送り出し、カワイイカルチャーを世界に広げてきた彼が現在、注力している世界戦略プロジェクト『もしもしにっぽんプロジェクト』の話題を中心に、海外でのリアルなクールジャパン事情、そのノウハウなどについて熱いトークが繰り広げられた。


アソビシステムは、「ブームを作ることよりも、カルチャーを創る」をコンセプトに、2007年に設立。原宿の若者たち特有のファッションや音楽、ライフスタイルをビジネスとして確立させた先駆者だ。きゃりーぱみゅぱみゅをはじめとしたアーティストやモデルのマネジメント業のみならず、イベント事業や映像制作など幅広い事業を手がけ、常に「青文字カルチャー」を牽引してきた。
本イベントの中心的話題となった『もしもしにっぽんプロジェクト』は、アソビシステムが新たに仕掛ける、世界を見据えた大型プロジェクトだ。中川自身の口から野心的に語られたその展望は、きゃりーぱみゅぱみゅの世界ツアーや、フランスでのジャパンエクスポ参加経験から得たリアルな視点に裏付けされている。
プロジェクトの一部を紹介すると、キュレーションサイトの開設、原宿観光案内所を併設した施設の世界展開などが挙げられる。少し意外とも感じられる観光案内所については、すでに第1店舗目が2014年12月のオープン予定。場所は原宿の中心部。単なる案内所ではなくショップはもちろん、番組収録なども行えるスタジオや、海外からの観光客が楽しめるカラオケスペースなどが併設されるところがアソビシステムらしさか。上階にはギャラリーや美容室を展開する予定もあると言う。同様の施設を海外の諸都市にも展開し、海外から日本へのインバウンドを呼び込むとともに、世界中の日本ファンが情報交換、交流できるスペースとしても機能させる。

アソビシステム株式会社 代表取締役社長 中川悠介

『もしもしにっぽん』ワールドツアー開催予定地


また、2014年9月に開催され、大成功を収めた『もしもしにっぽんFESTIVAL』のワールドツアーも2015年に敢行予定だ。東京体育館で行われた同イベントは、パスポートを見せれば外国人は入場無料となることでも話題を呼び、多くの観光客が日本特有のファッションや音楽、食を楽しんだ。きゃりーぱみゅぱみゅのライブにも共通することだが、アソビシステムのイベント来場者に特徴的なこととして、客層の幅の広さが挙げられる。サンフランシスコでの、きゃりーぱみゅぱみゅのライブに1人で訪れた76歳の男性は「彼女はカルチャーだ」と語ったという。「ブームではなくカルチャーを」というコンセプトは現実のものとなっているようだ。


若者はもちろん、親子連れや熟年層にまで訴えかけるアソビシステムの魅力とはなんなのか。「情報が溢れている時代、人々の興味は細かくセグメントされている。間口を拡げないといけない」と、中川は語る。『もしもしにっぽん』プロジェクトでは、原宿のカワイイカルチャーにこだわらず、そのほかの日本的なカルチャーや伝統文化なども発信していく予定だ。海外の日本好きにとっては、カワイイもアニメもニンジャも等しくクールジャパンなのだろう。「クールジャパンとは何か」ということをあえて定義せず、世界の需要に柔軟に対応していくことが重要だ。



イベントの後半では、来場者からの質疑応答の時間が設けられた。アソビシステムと同じく、海外へアピールできるプラットフォーム作りを行う音楽関係者や、大手企業のインバウンド担当者などから、それぞれの分野に応じた活発な質問が飛び交った。会場も和んできたなかでされた、将来的な展望についての質問に対して「ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンではない、メイドインジャパンのテーマパークを作りたい。妄想ですが」と野心的ながらも少しはにかんだ中川が印象的だった。いつか本当に実現する日が来るのかもしれない。

 


次回の『世界目線で考える。クールジャパン編』のゲストは、クールジャパン機構の出資も決定した「Tokyo Otaku Mode」CEOの亀井智英。日本のオタク文化を海外に発信し、フェイスブックページに1600万いいね!を集めるクールジャパンの代表的メディア/ECプラットフォームとして成長を続けるTokyo Otaku Mode。亀井は今、世界をどう見据え、ジャパンカルチャーの市場をどう創り出そうとしているのか。
クールジャパンの最前線を知る機会となる。ブログではすべての内容は取り上げられないので、ぜひともトークイベントに参加して海外目線を実感してほしい。

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