KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018が開幕、今年の見所は?

Mari Hiratsuka
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Mari Hiratsuka
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アートで溢れる春の京都に小旅行に出かけよう。現在、京都を舞台にした写真の祭典『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018』が、4月14日(土)〜5月13日(日)まで開催中だ。6回目となる写真祭には、希代のイメージメーカージャン=ポール・グードや、国際的な評価が高まる写真家の深瀬昌久、「前衛いけ花」の活動家として知られた中川幸夫ら、国内外の気鋭のアーティストから巨匠らの貴重な写真作品が15カ所の会場に展示。タイムアウト東京編集部では、時間がなくても押さえたい展示や見所をレポートする。

ユニークヴェニューでの展示

写真祭は、2013年にフランス人の写真家ルシール・レイボーズと、映画や舞台の照明デザイナーの仲西祐介がスタートさせた。この写真祭の楽しみは、なんといっても通常は非公開の施設や、寺院での展示だ。今回は、京都市中央市場の旧氷工場や京都新聞ビルの印刷工場跡のほか、建仁寺内の両足院などの指定文化財が会場になっている。貴重な場所が開放される、特別な1ヶ月なのだ。

KG+も見逃せない

これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に行われる、サテライト企画『KG+』も見逃せない。参加者を公募し、今年の『KG+ Award』では21の展覧会が開かれている。このAward候補の中から受賞した展覧会の作家は、来年の『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2019』への出展が決定し、賞金50万円などのサポートを受けられる。

ガイドツアーや体験型のワークショップも

夜の住宅街を赤外線カメラで撮影した写真集でも知られる山谷佑介のライブパフォーマンス

参加アーティストによる自身の作品や展示にまつわるトークショーのほか、インスタ映え間違いなしの会場を人気インスタグラマーと回るツアー泊まれる写真ラボ Talbotによる暗室モノクロプリントワークショップ、写真家の宮崎いず美とおにぎりを作ってピクニックに出かける交流イベントなど、写真を体験するという楽しみ方もできる。

5つの見逃せない展示

今年は、『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018』と『KG+ Award』を合わせると36の展覧会が行われている。その中でも見逃せない展示を5つに絞って紹介する。

1.京都市中央市場で展示を楽しむ。

京都市中央市場では、アルベルト・ガルシア・アリックスや、ギデオン・メンデル、K-NARFらの展示が行われている。3人の展示は、今回の展示の中でも特に会場とマッチしており、ギャラリーで作品を鑑賞するのとはひと味違う体験ができる。  

左からゴンサロ・ゴルペ、アルベルト・ガルシア・アリックス、仲西祐介、ルシール・レイボーズ

ロックンロールに生きる若者たちの姿を捉えたアルベルト・ガルシア・アリックスは、自身の映像作品を「魂をかきむしって血の出るような作業だった」と話した。世界に3本しかないという、40分の映像作品では、友人の死や自身の過去を振り返る。若さゆえの過ちや刹那的に生きる人々の危うい美しさは、記憶に深く残るだろう。

会場:三三九(旧氷工場)(一般600円、学生500円)

2.セルフィーの巨匠からヒントを得る。

2014年に立ち上がった深瀬昌久アーカイブスによる展示。「遊戯」「夕陽」「私景」の3つのテーマに分け、1960年から1992年に撮影された約250点の写真が展示されている。見どころは、深瀬自身でのビンテージプリントやポートレート作品のほか、写真にプッシュピンや針で穴を開け、糸を張り巡らせた、触覚も刺激されるような作品群だ。写真館を営む両親のもとで生まれた深瀬ならではの、こだわりのプリント方法やユニークで実験的なアプローチを見に行こう。

会場:誉田屋源兵衛 竹院の間(一般1000円、学生800円)

3.「イメージメーカー」ジャン=ポール・グードと出会う。

国の重要文化財に指定された、煉瓦造りが特徴の京都文化博物館 別館で行われている、ジャン=ポール・グードの国内初の本格個展。写真家、グラフィックデザイナー、アートディレクター、映像監督など多岐にわたり活躍するグードの展示では、幼少期を振り返る写真から、最新のシャネルの広告作品までが並ぶ。会場では、パリ装飾美術館で2012年に披露されたグードによる振り付け作品シャネルジュエリーへの賛辞』のダンスパフォーマンスが再現され、まるで何かに乗って動いているような機械的な動きができるロシア人ダンサー2人が常駐。パフォーマンスは、会期中毎日繰り広げられる。

会場:京都文化博物館 別館(一般1,200円、学生1,000円)

4.豪邸、セレブ、若さ、美、欲望を満たす。

今回特別に一般公開された京都新聞社の地下が会場の、アメリカの写真家ローレン・グリーンフィールドの展示元は印刷所だった広大な地下スペースを使用している。大富豪に成り上がった夫婦が、アメリカンドリームの頂点から転落していく過程を追ったドキュメンタリー『クイーン・オブ・ヴェルサイユ』の監督としても知られるグリーンフィールド。「富そのものではなく、人間の富への欲求を切り取った」と話す彼女の写真群は、現在の資本主義の現実と人間の欲望が赤裸々に映し出されている。展示は入場無料というのも嬉しい。

会場:京都新聞ビル 印刷工場跡(入場無料)

5.小学校の校舎に侵入する。

サテライトイベント『KG+』の会場をすべて回る時間がないならば、元淳風小学校がおすすめ。レトロな小学校の校舎が展示会場として使用され、1階と2階の教室に16人のアーティストの作品が展示されている。理科室を使った東地雄一郎の1枚の写真プリントAを2000回繰り返しコピーした実験的な作品や、relaxmaxの鞍馬の火祭りを撮影したスピリチュアルな作品など、バラエティに富んだ作品を一気に楽しめる。

会場:元淳風小学校(入場無料)

 『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018』の詳しい情報はこちら

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