DOMMUNEに一柳慧が登場、次回の万博特集は2月16日

テキスト:
Kosuke Shimizu
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2月7日、ライブストリーミングスタジオのDOMMUNEに、一柳慧が登場した。一柳といえば、日本にジョン・ケージを紹介したことでも知られる現代音楽界におけるレジェンド的存在。この日は、『70年大阪万博の貴重な音資料をDOMMUNE LIVEで公開』でも触れた通り、2020年が1970年の日本万国博覧会(大阪万博)から50周年に当たることを記念して開催される『大阪万博50周年記念展覧会』の関連プログラムとして、貴重な音資料が多数再生された。

DOMMUNE一柳慧

一柳からは、大阪万博の3年前に開かれたカナダのモントリオール博の際に、日本から視察に来ていた建築家の黒川紀章や美術家の山口勝弘といった顔ぶれが、当時ニューヨークに住んでいた一柳を訪れてからモントリオールへ向かったなど、貴重なエピソードが数多く話された。DOMMUNE代表の宇川直宏とともに今回の音源調査に関わった音楽評論家の西耕一が、一柳の名前でクレジットされている楽曲をかけるものの「これは秋山(邦晴)さんじゃないかなあ」とやんわりと否定するなど、笑いを誘うシーンもあった。

DOMMUNE一柳慧

一柳の楽曲以外にも、小杉武久や黛敏郎など、今なおアヴァンギャルドに響く貴重な音源が次々とかけられ、19時から24時まで長丁場に立ち会った視聴者にとっては印象深い夜となったのではないだろうか。なかには武満徹が「家族に評判が悪い」と万博の音楽に対して卑屈になっている肉声などもあり、輝かしいだけでない当時のムードが伝わってくる。とはいえ、一柳が言うように万博に参加したアーティストたちが「自由な空気のなかで最高の力を出せた」からこそ、50年後の現在でも多くの人を引きつけるイベントとなったのだろう。「そうでなければ、あんまりやる意味ないですよね」という一柳の言葉にうなずかされる。

DOMMUNE一柳慧

DOMMUNEの万博特集は、2月16日(日)にも開催される。次回は、美術評論家の黒瀬陽平をゲストに迎えるとのことなので、万博と美術との関係からの興味深いトークが聞けそうだ。「大阪万博と前衛芸術」というテーマ設定でいえば、椹木野衣の著書『戦争と万博』(美術出版社)があまりにも有名だが、暮沢剛巳と江藤光紀による『大阪万博が演出した未来』(青弓社)もまた、極めて示唆に富んだ良書。美術だけでなく、それぞれデザインや音楽も専門としている研究者らによる共著ならではの、広範な視点で大阪万博を振り返ることができる内容になっているので、DOMMUNEの予習復習にもうってつけだろう。

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