「恐竜ブーム」をもたらした一大スペクタクル、ラストツアーの日本公演がスタート

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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BBCの同名テレビシリーズを基に制作された世界最大の恐竜ショー『ウォーキング・ウィズ・ダイナソー ライブエクスペリエンス』は、教育とエンターテインメントを融合させた一大スペクタクル。アニマトリクスという骨格や筋肉の動きを機械で再現した技術を用い、舞台にはまさに本物さながらの恐竜が次々と姿を現す。

これまでに全世界で900万人を動員し、日本では2010年と2013年に上陸し「恐竜ブーム」を巻き起こしたこのショーは、今回が最後のワールドツアーとなる。日本公演は横浜アリーナで8月1日〜4日までの4日間、全9公演が開催される。老若男女を問わず多くの人々を熱狂させてきたこのショーの魅力とは、一体何だろうか。8月1日の日中に行われたゲネプロに参加してきたので、その全貌をレポートしたい。

「近すぎちゃってどうしよう」を恐竜で体感


『ジュラシック・パーク』に『ダイナソー』『リトル・フット』。現代人にとっては数々の映画・アニメ作品にも登場し、時には仲間として、時には悪役として、我々をスリリングな世界に導いてくれた存在こそが、恐竜だ。

ショーのガイドとして登場するのは、2人の考古学者。彼らは現代に発掘された恐竜の化石を頼りに、恐竜が生きていた時代へとタイムスリップする。肉食恐竜しか存在しなかった時代を経て、草食、飛行型と、次々に現れる新型の恐竜たち。地球環境の移り変わりとともに、それぞれの時代に誕生した種の生態を、2人は(時に危ない目に会いながらも)我々に説明してくれる。

まず驚かされるのが、今まで図鑑やスクリーン越し、あるいは白骨化した姿でしか見てこなかった恐竜たちが、いかに巨大生物だったか、ということだ。大きいものは高さ12メートル、3階建てビルにも相当するというが、その実寸大サイズが目の前にいざ姿を現すと、想像以上の迫力である。特にティラノサウルス・レックスは「こんなに大きかったのか」と圧倒される。どう考えても勝ち目のないサイズだった。

彼らはステージの中を自由に動き回り、時には生き残りをかけて他の種と闘いながら、我々に生活の一部を見せてくれる。そして、ふとした瞬間にステージの柵を越え、我々が座っているシートにまで首を伸ばしてくるものだから、思わず手に汗を握ってしまう。まさに「近すぎちゃってどうしよう」( ©︎富士サファリパーク)。そんな気分だ。

ケンカの傷跡まで完全再現した、リアルな恐竜の姿

そしてこのスペクタクルのリアリティーを裏付けているのは、恐竜たちのあまりに細かな再現度。間近で見てみると、ザラザラした皮膚のみならず、呼吸に合わせて脈打つ筋肉や、ちょっとした目の瞬き、鼻息の荒さなど、細かな身体の動きまでが再現されているのだ。機械で操作しているとは分かっているものの、あまりに精巧な表現に、あたかも彼らが生きているかのような感覚に陥る。 

ちなみに同じ種同士の闘いの後には、皮膚に血がにじむ様子まで再現されるほどの徹底ぶりだ。「化石だけではなく、糞や足跡などからも恐竜の生態をひも解いていく」。ガイドである彼らはそう言うが、この現代に遺されたあまりにわずかなヒントからここまで微細な情報までをも汲み取れるのかと思うと、考古学研究の奥深さにも魅了される。


教育番組ならではの「恐竜ネタ」に、思わず感心


このショーのもうひとつの醍醐味は、恐竜にまつわる知識を実際の恐竜たちを見ながら得られる、という点だ。ガイドたちは、その時代ごとの環境の変化に触れながら、恐竜たちがどのように進化を遂げていったかを、分かりやすく解説してくれる。

彼らが教えてくれた「恐竜ネタ」を挙げると、例えば「ステゴサウルスのトゲはなぜ背中についてるのか」や「コミュニケーションをとる賢い恐竜が存在した」など。個々の恐竜がなぜこの見た目になって、どのような進化の過程を経たのか。実物を目の前にしながらそれらを知ることができるのは、教育番組のライブスペクタクルならではである。

未だ生体について解明されていないことは多いという恐竜だが、このショーを通して彼らの生き方に触れると、「確かに地球に存在したのだ」という実感がこみ上げてくる。そういった意味では、この舞台にはただの恐竜ショー以上の体験が得られる。子供はもちろん、大人も楽しみながら学びを得ることができる『ウォーキング・ウィズ・ダイナソー ライブエクスペリエンス』。気になる人はこの最後のチャンスを逃さないようにしてほしい。

『ウォーキング・ウィズ・ダイナソー ライブエクスペリエンス』の詳しい情報はこちら

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