外国人も夜の街を楽しめるように…豊島区はこれからどう攻めるのか

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豊島区の夜間経済の活性化を目指し議論する、区の『アフター・ザ・シアター懇談会』の分科会が1月17日、区庁舎で開催された。出席した有識者と区職員が、区の観光振興プラン(案)を基に、区が具体的に取り組むべき点や今後の方針について話し合った。

懇談会は、2017年から4回にわたり開催。8つの劇場などを有する新たな複合商業施設「ハレザ池袋」が2020年夏に開業することなどを見据え、人々が観劇後も夜の街を楽しんでもらうためにアイデアを出し合ってきた。

区では、池袋だけでなく大塚のナイトライフ振興にも取り組んでおり、昨年12月には民間企業と協力し、タイムアウト東京のガイドマップを外国人客に配布。この活動は、観光庁の『最先端観光コンテンツ インキュベーター事業』のモデル事業に選ばれた。

この日は、アナウンサーの中井美穂やトリップアドバイザー代表の牧野友衛ら約20人が出席。A.T.カーニー日本法人会長で懇談会座長の梅澤高明が司会を務めた。

池袋駅利用者数は全国屈指の多さ、課題は…

観光振興プラン(案)によると、池袋駅の1日乗降客数(2016年度)は約264万人で、全国3位。だが委員からは、区内の商業施設の知名度の低さを指摘する声が上がった。

中井は、「池袋で芝居を観終えたら、すぐにタクシーに乗って別の場所に行ってしまう人が周りには多い。なぜなら、いい店を知らないから」と自身の体験を紹介。梅澤は、「イタリアンや高級中華などのレストランガイドをハレザの入口で配るといいかもしれない」と提案した。三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センター長の太下義之は、「ガイドなどを作ると、『なぜうちの店は紹介してくれないのか』という声が出てくるから、事業主体を行政から観光協会などに移す必要があるのでは」と述べた。

中井美穂

外国人がナイトライフを楽しめていない

続いて、訪日外国人客向けの取り組みについても意見交換。区によると、訪日客が訪問した都内のエリアランキングで池袋は10位(2017年度)で、改善の余地が大きいことが明らかになった。また都の調査結果によると、池袋を訪れた訪日客が満足したアクティビティの上位が、宿泊施設での滞在やショッピングなど。肝心のナイトライフ関連の回答はほぼゼロだった。

梅澤は「宿泊客に、いかに昼から夜まで街にいてもらうかが課題」と分析し、オリジナル代表で副座長の伏谷博之も「(アニメ関連グッズ専門店の)アニメイトが人気なので、『アニソンスナック』みたいなスポットと連動してPRすれば、滞留時間が伸びるのでは」と続いた。

左から梅澤高明、牧野友衛

区への注文も

区に対し、より綿密な調査を求める声も聞かれた。区職員が、訪区する外国人は中国、台湾、タイからの人々が多く、区内居住の外国人は中国、ベトナム、ネパールの人々が多いことを説明すると、キョードーファクトリー社長の前田三郎は、「どの国の人が、どこの地域に、どれだけいるのかを、もう少し丁寧に調べないといけない」と意見。「現在区内にいる人々の属性を調べることは絶対に必要。ナイトライフ(振興の取り組み)にもつながるはず」とした。

分科会は来月も開催。区国際アート・カルチャー都市推進室長の馬場晋一は、「これまでの会議はコンセプチュアルな議論だったが、今回は具体的な指針が示された。地域の人々に対しても、懇談会での話やデータなどをオープンにし、アフター・ザ・シアターの取り組みを発展させたい」と手応えを感じていた。

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